タイヒバン
-
- 営業時間
-
ランチ 11:30~14:30 ディナー 18:00 ~ 23:00
- 定休日
-
月曜、火曜(祝日の場合は翌日)
-
- 電話
- 住所
-
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-22−3
-
吉祥寺駅から徒歩5分、井の頭通りを左手に曲がると、ある1軒のお店が見えてきます。しっくいのような土と木材で作られた壁。軒先にはハーブが置かれ、ツタで覆われた店名が目に入ります。お店の名前は「タイヒバン」。見慣れない言葉と店構えで、まるで秘密基地のような興味深いお店です! タイヒバンの店名の由来や自社農園についてなど、お話を聞くとさらに興味が出てきました。今回、オーガニックレストラン・タイヒバンを運営している「オーガニックキッチン」代表で建築家の湊 泰樹(みなと たいき)さんにお話をうかがいました。
Index
Toggle「もともと飲食店をやるつもりはなかったんですよ」と笑いながら話す湊さん。湊さんはなんと現役の建築家。タイヒバンにはもともと別のオーナーがおり、湊さんは店内の空間づくりに関わる立場でした。
「私は木を使った建築や空間デザインを専門にしています。木を使った空間づくりには間伐材1を利用するなど、木材を消費するだけでなく森に優しい取り組みを続けてきました。そんな中、タイヒバンの設計依頼が来たことが現在の活動のはじまりです。タイヒバンのお店づくりに関わるうちに、農業という一次産業に興味を持ち、自分で農園を開くことになったんです」と湊さんは話します。自分で農園を始めるなんて、すごい行動力です…! 自社農園をはじめるきっかけになった「すごい堆肥」についても、木が深く関係していました。
タイヒバンのお店の由来になった言葉はそのままズバリ、「堆肥盤2(たいひばん)」。一次産業の農業で使われる専門用語だそうです。木を使った空間づくりを手掛ける湊さんだからこそ、土づくりに興味が向かうのは自然なことでした。木を育てるためには、土づくりがかかせないですもんね! 「すごい堆肥」に出会ったときの感動を湊さんは話してくれました。
「“すごい堆肥”が使われている牛舎にいったところ、嫌な匂いがまったくなくハエ1匹飛んでいない。衝撃的でした。これはすごいな、と大変興味をもちました。」
その後、湊さんも含めたメンバーで堆肥を中心とした「LIP(Life in Peace)」プロジェクトがはじまります。LIPプロジェクトとは、おが粉(木くず)と質の高い飼料を与えた牛や鶏のふんが混ざってできる堆肥をつかった、「循環再生事業」を中心にしたプロジェクトのこと。質の高い土づくりが、自ずと質の高い「食」につながるという考え方です。タイヒバンはLIPの考え方を紹介する施設として設立されました。
「すごい堆肥」を使ったプロダクトを紹介する場所として誕生したタイヒバン。オーガニックレストランですが、通常の飲食店と取り組み方がひと味違います。
写真の奥にある大きな冷蔵庫は、北海道・十勝の「大野ファーム」から1頭買いでしか仕入れられない牛のために設置したそう! 大野ファームで育った牛は抗生剤を与えず、「すごい堆肥」で育った牧草を食べた質の高い牛とのことです。その牛を仕入れるためだけに、設備を整える徹底ぶりに驚きました。
湊さんは「大野ファームの牛は1頭買いなので、どんな質の牛が届くのかお楽しみの部分があります(笑)。なので、牛の状態によって調理の具合も変えています。牛1頭にはいろいろな部位がありますよね。例えば牛すじはシチューにつかっています。規格外のナシやリンゴも使って、自然な甘さを生かしたシチューを提供しています」と笑顔で話してくれました。
仕入れたい食材を優先したメニューづくり、そのこだわりに感服です! さらに、タイヒバンでは富山にある自社農園「オーガニックキッチン音川ファーム」で採れたブドウで作られたワインも取り扱っています。つながりのある農園からは毎週金曜日に野菜や果物を仕入れており、食事をせず買い物だけに来ても歓迎だそうですよ! 野菜の仕入れにもどうやらこだわりがあるそうです。後半の記事では、そのあたりを詳しくうかがいます。
(写真=編集部撮影)
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-22−3
1975年に創刊し、2022年3月で創刊47年を迎える週刊きちじょうじ。吉祥寺のおいしいグルメ、カルチャー、話題のトピック、ニュースがわかる、吉祥寺で暮らす人のためのタウン誌のオンライン版です。