前進座 舞台のいろは

前進座 舞台のいろは

前進座 舞台のいろは「役者の化粧前(けしょうまえ)」

1931年に創立した前進座は、東京都武蔵野市を本拠とする日本の歌舞伎も上演する劇団です。

歴史ある劇団から舞台の裏側を学べるコラム「前進座 舞台のいろは」では、舞台まわりの小道具の紹介や知られざる役者さんのあれこれをご紹介します。

役者の化粧前(けしょうまえ)

舞台は、化粧はすべて俳優が自身でいたします。これがなかなか難関で、役にあった眉毛を描けるには10年以上かかると言われるくらい大変な修業のひとつです。

化粧品や道具は、すべて自分で揃えます。高価なものが多く、揃えるのもひと苦労。先輩からいただいたり、旅先で気に入ったものを求めたり…。中村梅之助さんに買っていただいた水入れは今でも大事に使っています。
パレット(ドーランなどを入れるもの)は、亡き父が私の大好きな桜の古木から彫ってくれた宝物です。
鎌倉彫の手鏡は、旅先で初めて自分のために買ったもの。
先輩方の化粧前は、洗練されていて、とても素敵でした。少しずつ先輩方に近づけるよう、自分のカラーも出しな
がら、模索の日々が続いています。

執筆 横澤寛美