アンジェリカで映画の話を

アンジェリカで映画の話を

毎月第2週にお届けする「カフェ&ワインバル ANGELIKA(アンジェリカ)」共同オーナーの髙田和子さんによるコラムです。コラムを担当する髙田さんはANGELIKAと平行して、現在も映画関連のお仕事をされています。映画愛がつまった月イチの連載コラム、どうぞお楽しみください。

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アンジェリカで映画の話を 〜『ロボット・ドリームズ』〜

「週刊きちじょうじ」と「週刊きちじょうじオンライン」で毎月第2週にお届けする「ANGELIKAで映画の話を」。「カフェ&ワインバル ANGELIKA(アンジェリカ)」共同オーナーの髙田和子さんによるコラムです。

ANGELIKAは吉祥寺・中道通り近くに位置するこだわりのコーヒーとワイン、エッグタルトを提供するお店。コラムを担当する髙田さんはANGELIKAと平行して、現在も映画関連のお仕事をされています。映画愛がつまった月イチの連載コラム、どうぞお楽しみください。

『ロボット・ドリームズ』

覚えてる?この感情は永遠だって気づいたあの日を

『ロボット・ドリームズ』
監督・脚本:パブロ・ベルヘル
2023年/スペイン・フランス
アップリンク吉祥寺ほか全国公開中
公式ウェブサイト

今年最後のコラムで、私の今年のベストワン映画を紹介することができました。犬とロボットの友情をセリフやナレーションなしで描くアニメーションです。

ドッグは持ち前のストレートな感情で、友だちができた喜びをちぎれるほど尻尾を振って表現します。一方ロボットはドッグと出会いそして離れ離れになる過程で、人を愛しく思う気持ちを初めて知っていきます。繋いでいた手を離さなくてはいけない時が来る。でもそれは相手の幸せを願うため。大好きな人を思い続けていられるなら孤独じゃないよと、ロボットが楽しげに笑います。

印象的だったセリフをコラムの見出しに付けていますが、今回は映画の中で度々流れるアース・ウィンド・アンド・ファイアーの楽曲「セプテンバー」の歌詞から選びました。海で夢のような1日を過ごした9月のあの日を、ふたりは忘れることなく今を幸せに生きていくのでしょう。

『ロボット・ドリームズ』 2023年/スペイン・フランス/監督・脚本:パブロ・ベルヘル アップリンク吉祥寺ほか全国公開中 © 2023 Arcadia Motion Pictures S.L., Lokiz Films A.I.E., Noodles Production SARL, Les Films du Worso SARL

『ロボット・ドリームズ』を観たあとは、この映画がおすすめ!『雄獅少年/ライオン少年』

『雄獅少年/ライオン少年』
監督:ソン・ハイポン
2021年/中国
公式ウェブサイト

格差社会の底辺でもがく少年が、獅子舞競技に挑戦するCGアニメです。『ロボット・ドリームズ』は、愛に溢れた映画として完璧な作品でしたが、こちらは少年の成長譚としてまさに完璧! 夢中になれるものとの出会い、恩師の存在、友情、淡い恋愛、家族愛、そして、与えられる試練とそれを乗り越える強さ。少年のひたむきさには何度も胸が熱くなりました。

アニメーションならではの表現として、試合の熱気や仲間同士の共鳴までも視覚化して見せてくれるところに心奪われます。クライマックスの獅子舞競技大会の、観客もライバルチームも皆がひとつになり奇跡が起こるシーンの美しさ! 少年の獅子舞が王者ライオンとなって雄々しく跳躍するシーンの迫力! 一方、半分破れた獅子の面から覗くむき出しの左目の強さで、少年の決意を見せるといった、動だけでなく静の表現力にもシビれました。

『雄獅少年/ライオン少年』 2021年/中国/監督:ソン・ハイポン Blu-ray:\5,390(税込) / DVD:\4,290(税込) 発売元:ギャガ販売元:ギャガ ©BEIJING SPLENDID CULTURE & ENTERTAINMENT CO.,LTD ©TIGER PICTURE ENTERTAINMENT LTD. All rights reserved.