HILLOCK(ヒロック)初等部吉祥寺校
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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭-12-11
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hillock.shotobu@gmail.com
井の頭公園駅からすぐ、緑に囲まれた場所にあるのがオルタナティブスクール「ヒロック初等部吉祥寺校」です。
「オルタナティブスクール」という言葉、みなさんは聞いたことがありますか? どんな授業をしているの? そもそもどんな学校なんだろう?
今回編集部は、生徒たちと一緒にシェルパ(ヒロックでの先生の呼び名)の蓑手さん、野口さん、萩原さんによる授業を体験してきました!
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Toggle「子どもたちが知らなかった世界と出会えるようなカリキュラムを作っています」と教えてくれたのは、“みのさん”の愛称で親しまれているシェルパの蓑手(みのて)さん。ヒロックの立ち上げに関わった方です。
ヒロックでは先生のことを「シェルパ」と呼びます。由来はヒマラヤ登山のガイドの呼び名。教える存在ではなく、それぞれの子どもに合ったルートを提案する役割を意味しています。
ヒロックは2022年4月に世田谷で誕生し、2023年9月には代々木校が開校。そして2024年4月、3校目となる吉祥寺校が開かれました。
「どの学校も、都内の大きな公園の近くに作りたかったんです。最初は砧公園のそば、次は代々木公園の近く。井の頭公園から目の前のここは、まさに理想的な立地でした。」
ヒロック吉祥寺校と井の頭公園は目と鼻の先。学校の窓からも井の頭公園の木々が見える抜群の環境です!
ヒロック初等部は、フリースクールやオルタナティブスクールと呼ばれている学校。公立や私立ではない学校を選んだ子どもたちが通っています。蓑手さんに詳しくお話をうかがいました。
「子どもたちは、地元の学校に籍を置きながらヒロックに通っています。月に1回や学期に1回は、在籍校にも通って連携を取っていますし、こちらからも報告書を送っています。卒業資格は在籍している学校から出る仕組みです。」
蓑手さんによれば、2016年に成立した「教育機会確保法」が大きな転機になったそう。それ以前はフリースクールに通うことが十分に理解されていないと感じることもあったようですが、法改正によって流れが変わってきたと語ります。
「日本では小学生の多くが公立か私立の小学校に通っていますが、海外ではもっと多様な選択肢があるんです。子どもたちが学びの場を自由に選べることは、とても大切なことだと思います。」
公立や私立だけでなく、オルタナティブスクールという新たな学びの選択肢があることを知り、大きな発見となりました!
実際、オルタナティブスクールではどのような授業が行われているのでしょうか? 今回は、吉祥寺校の授業の一部を体験させてもらいました!
2025年5月現在、ヒロック初等部では1〜4年生の異年齢制を採用しており、生徒に合わせたカリキュラムが行われています。
テーマⅠのクラスは「数と論理」の授業中。井の頭公園で拾った石や木を使いながら、「数」について学んでいます。同じ「1」でも、石と木では種類が異なります。「何をもって“1”とするか?」という問いから、数の概念にアプローチしていきます。
使い終わった石や木は公園に返します。数の学習を通して、自然との関わりや道徳的な感覚も育まれているようでした。
一方、テーマⅡのクラスは「面積」の授業中。「そもそも面積って何のために必要になったんだろう?」という問いかけから始まり、1平方メートルの大きさを新聞紙で実際に作ってみます。
できあがったら、みんなでその上に立って体感! 体感的に「面積」を身につけることができます。
ある程度時間割に沿って進められる授業が印象的なヒロック。オルタナティブスクールと聞くと、もっと時間に縛られず、自由なものだと考えていた自分をちょっと反省…。
「ヒロックって“自由になるための力”を育てる学校なんです。何でも自由にやっていい、というのは実はその子の“できること”の範囲内だけ。でももっと自由になるには、いろんな世界に触れることが必要なんです。時々、『ヒロックは楽しいけど疲れる』なんて感想をもらうこともあります(笑)」と、蓑手さんは笑顔で語ってくれました。
クラス会議のあとは、井の頭公園でのランチタイム。公園のすぐそばにあるヒロックならではの過ごし方です。
子どもたちは持参したお弁当を広げ、好きな場所でお昼ごはん。シェルパたちも一緒に食事をとります。
「大人だって、公園で食べると気持ちいいですよね。この時間が大好きなんです」と、シェルパの皆さんも笑顔。子どもたちの話に耳を傾けながら、ほっとひと息つく時間です。
一緒にランチをとったのは“たっちゃん”こと吉祥寺校のスクールディレクター(校長)・萩原さん。2024年に行われたヒロックのサマースクールをきっかけに運営に関わりはじめました。それ以前は静岡で小中学校の教員を9年、その後、現「オンラインHILLOCK」の前身となる会社「Qilot(キュイロット)」を立ち上げたそうです。
「ヒロックのシェルパは、元保育士さんや小学校の先生をしていた人たちばかり。自分もいつかオルタナティブスクールを設立したいと思っていて、たまたま参加した心理学の研修でヒロックの人たちと出会ったんです。元々ヒロックのことは知っていたのですが、話せば話すほど、ヒロックの考え方が自分のやりたかった学校のイメージにとても近かったんです」と萩原さん。
大人の“好き”を熱意を持って伝えたいという思いで、日々子どもたちと向き合っています。
「フットワーク軽く動けるのもオルタナティブスクールの強みですよね。以前、外部の方に縄文時代についての授業をお願いしたんです。その後調べてみたら、どうやら多摩に関連施設がある。じゃあ次の週に行ってみよう!なんてことができる。少人数だからこその柔軟さですね。」
実は、以前萩原さんにお呼ばれして週きちも授業を行わせてもらったことがありました! 子どもたちにもわかりやすく教えることで、こちらも多くの学びを得る機会になりました。
子どもたちのお気に入りは、井の頭自然文化園の紹介ページ! 真剣に授業を聞いてくれた姿が、とても励みになりました。
ランチの後は1〜2年生のクラスに混ざって「生物」の授業へ。シェルパは“エミリー”の愛称で呼ばれている野口さん。まずは「生物にはどんな種類があるのか?」をみんなで考えます。
考えを深めたあとは、実際に外に出て「生物」を探しに出かけます。もちろん行き先は井の頭公園。目の前に広がる自然そのものが、まさに“教科書”です。こんな授業なら、夢中になってしまいそう!
ヒロック吉祥寺校での授業体験で、特に印象的だったのは、子どもたちが自分の学びに真剣に向き合っている姿。自分が今何を学んでいるのかを意識して、課題や疑問に向かって取り組んでいる姿に思わず感動!
「自由進度学習では“本のしおり”のように学んでほしいと思っています。本って一気に読んでもいいし、数ページ読み進めるだけでもいい。戻って読み直すこともありますよね。ヒロックでも、そんなふうに立ち止まったり、振り返ったりしながら学んでいってほしい。『力をつけたい』『もっと知りたい!』と思った瞬間、彼らはものすごいパワーを発揮します。私は、このかけがえのない学びの瞬間を何よりも大切にしたいんです。」
そんな萩原さんの力強いメッセージを最後に、この記事を締めくくりたいと思います。シェルパの皆さん、そして授業に参加させてくれた生徒の皆さん、ありがとうございました!
ヒロックでは「ワイルド&アカデミック」をテーマに、自然と触れ合いながら学べる場をつくっています。子ども一人ひとりの成長を大切にし、対話を重ねながら進める授業が特徴です。
特に吉祥寺校は井の頭公園に川が流れており、その立地を存分に活かした学びが可能です。毎日の井の頭公園でのランチタイムは、楽しみのひとつでもあります(笑)。
体験的な学びを求めている方にはぴったりの場所だと思います。見学会や説明会も開催していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください!
〒181-0001 東京都三鷹市井の頭-12-11
1975年に創刊し、2022年3月で創刊47年を迎える週刊きちじょうじ。吉祥寺のおいしいグルメ、カルチャー、話題のトピック、ニュースがわかる、吉祥寺で暮らす人のためのタウン誌のオンライン版です。