梅雨や真夏の日差しが楽しみになるイイダ傘店の手作り傘

武蔵境に工房を構えるイイダ傘店。傘作家イイダヨシヒサさんが主宰する個人オーダーの傘店です。日傘や雨傘を生地から制作し、受注会やPOPUPショップなどで全国を巡回しています。

傘のほかにもテキスタイルデザインから発展させた布モノ紙モノも制作されています。

今回はイイダ傘店さん特集! 傘の奥深さと魅力を存分に感じてみてくださいね!

大学の卒業制作でつくった「展示する傘」

美術大学のテキスタイル専攻に通っていたイイダさん。布の染織や素材についてを学ぶテキスタイル学科の卒業制作として傘を作ったことがイイダ傘店の始まりになりました。

大学生の頃は、傘について「生地の展示方法」として考えており、雨に濡れることや日に当たることは考慮せず、表現したいことを落とし込むためのアイテムだったといいます。

今は人が使うことを前提としているので機能や使いやすさにもこだわっていますが、“布で見る人を楽しませたい”という部分は大学生の頃から変わっていないそう。実用性がある傘は制作過程で制限がありますが、自分の思いをどうやって落とし込めるか考えていくのも、楽しい作業になっているそうです。

最も難しいのは布と傘の相性を探る作業

傘はイイダさんと工房のスタッフが共に作り上げています。

傘は三角形の生地を8枚縫い合わせてできており、その三角形を「コマ」と呼んでいます。コマは生地の素材や厚みなどでサイズがそれぞれ異なるため、新作の生地ができあがると、まずはコマのサイズを検討します。 つぎに、専用の木型と包丁と呼ばれる道具でコマを裁断して縫い合わせ、傘骨に張ってみます。そして、生地を張った後に蒸気を傘にあててシワを伸ばす「湯のし」という作業を行います。湯のしをすると、思っていたよりも生地が伸びて、張りが弱くなってしまうことも。一つひとつが同じにはいかないサイズの微調整。この工程が難しく、傘作りの奥深さを感じます。

イイダ傘店の“ひと工夫”

手作りしているイイダ傘店の傘は、丁寧に作る過程はもちろん使う人への思いやりが溢れています。雨傘はおもしろさや気持ちが明るくなるデザインを意識して、雨の日にもさしたくなるようなデザインを意識しているそう。

雨の日を楽しく過ごしてもらいたいとの思いが込められています。

日傘も、色や柄はもちろん、刺繍や織りなどの質感も意識してデザインが考えられています。傘をさしたときに内側から見ても楽しい工夫がされている傘は自分だけの特別な景色になります。

傘を長く使うためには

イイダ傘店の傘は修理も可能とのこと。大切に長く使うために気をつけた方が良いことがあるかを聞いてみました。

まず、雨傘は基本的に濡れたままで置いておくのはNG。雨に濡れたら水気を取って陰干しで乾かすのが良いそうです。イイダ傘店のスタッフさんたちも雨の日は工房に傘を開いて置いています。「外出先では難しいですが、ご自宅へ帰ったらぜひ干してから保管してください」とのこと。

お客さまの中には修理やメンテナンスの依頼をしてくれる方もいるようで、10年20年たってもキレイな状態の方もいて、大事に使ってもらえていることに驚くこともあるといいます。

骨が折れたり、糸がほどけたり、色が剥げたり、修理の内容はさまざまですが、一人ひとりに合わせた修理ができるのもイイダ傘店ならではです。

イイダ傘店の傘と出会うには

店舗を持たないイイダ傘店の傘を購入する方法は大きくわけてふたつあります。

①受注会

毎年3月と9月に開催されるオーダー会。生地と持ち手とサイズを自分で選ぶことができます。半年後に完成した傘が送られてくるそうで、できあがりを待つ時間も楽しめます。

受注会の様子

②POPUPイベント

できあがった傘がずらりと並ぶPOPUP。日傘、雨傘、晴雨兼用傘、折りたたみ傘をその場で購入できます。お気に入りの1本と出会えたら、すぐに使えるのが嬉しいですね。

POPUP開催予定!

【イイダ傘店 武蔵境工房】

2025年6月13日(金)、14日(土)、20日(金)、21日(土)の4日間(各日13:00〜17:00)武蔵境の工房を開き「6月ストア」が開催されます。

傘やその他のグッズを購入することができるので、ぜひ足を運んでみてくださいね。

また、この期間に合わせて2025年6月13日(金)〜30日(月)まではオンラインストアも期間限定でオープンします。注文してから2週間前後で発送されるとのこと。今年の梅雨や夏から使うことができます。

【スパイラルマーケット吉祥寺アトレ】

アトレ吉祥寺のリニューアルに伴ったオープンイベントでも出店が決まっています。

2025年6月20日(金)にオープンするアートと雑貨のセレクトショップ「Spiral Market(スパイラルマーケット)」にて2025年7月21日(月・祝)までの期間、イイダ傘店が出店します。

お近くの方はぜひこのチャンスに傘を手に取ってみてくださいね。

父の日にもおすすめしたいメンズ傘

イイダ傘店には、父の日や男性へのギフトにもおすすめの傘があります。4種類のサイズ展開をしている傘の中でも最も大きいのは65cmの紳士傘。男性の手にもフィットしやすい持ち手です。テキスタイルもシックなものが多くビジネスシーンにもマッチしやすい傘に仕上がっています。

柄ものだけではなく無地や幾何学模様、また、6月ストアで初登場するオオカミの持ち手の晴雨兼用傘など、シンプルなデザインの中にも“雨の日を楽しんでもらいたい”思いが散りばめられています。

傘以外の布モノ紙モノ

傘以外にも、傘の生地をつかった防水のポーチやバッグ、テキスタイル柄を落とし込んだタオルなどの取扱いがあります。イイダ傘店のテキスタイルを天気関係なく持ち歩けるのは、なんだかお得な気分になってしまいます♫

また、取材中にスタッフの方へ推しアイテムを聞いてみると「これからの季節にもおすすめのうちわです!」と見せてくれました。

傘に使っている生地を職人さんがうちわの芯に貼ってくれているそうで、素敵な柄と職人技がコラボする特別なアイテムになっています。

傘作りへ丁寧に向きあってきたからこそ広がるイイダ傘店のアイテム。今までの傘や小物はもちろん、これから生まれる作品にも期待大です!

【写真提供=イイダ傘店】