カフェ 海猫山猫

吉祥寺と三鷹の間にある、不思議な空間

吉祥寺は好きだけど、吉祥寺の喧騒からちょっと離れたところに行きたい。でも吉祥寺がいい。そんなわがままな気持ちで足早に井の頭通りを歩いて、成蹊通りをこえたところに「カフェ 海猫山猫」はあります。多分、三鷹からのほうが近いんだけど、三鷹からもちょっと歩く距離。駅前の元気な騒がしさはないけれど、静か過ぎない、人の気配がする、そんな場所です。

お店の前には枇杷の木と青いテント。中を覗くと、あれ、いろんな椅子や机が。
一際目を引くのは何かの乗り物の座席。どこかの乗り物で使われていた、吸い殻入れもあるちょっと昔の二人掛けの椅子です。
お好きなところへどうぞ、と声をかけていただいたのですが、目の前のソファも異国情緒あふれていてすごく素敵だし、お隣の椅子と机は広々していて気持ちよさそう。迷いに迷って最初の乗り物のシートに座りました。ヘッドレストにもお店のロゴがあって、さながら海猫山猫号で行くちょっとした旅行気分です。目の前のカウンターもなだらかな曲線を描いていて、なんだかお店がひとつの船のよう。
壁にはいくつか絵や写真があって、一際大きな綺麗な風景の写真が。前来たときはきっと別の写真だったのだけれど、その時も今も、まるでここから遠く離れた自然の中につながった窓があるみたい。特別な色や刺激的な印象ではないけれど、旅行中にふと目を上げたら目を見張るような素晴らしい景色が目に飛び込んできた、そんな感覚を呼び起こされるとっても素敵な写真です。

シンプルって贅沢。

今日のお目当ては、コーヒーとプリン！　友人から、素敵なコーヒーと、シンプルで美味しいプリンがある、と聞いて楽しみにしていたのです。シンプルなプリンにも色々あるからどんなプリンなのかしら、メニューには「固めプリン」と書いてあるのだけれど、と思いながらふかふかのソファならぬ乗り物のシートで待っていると、新しいお客さんが。 尻尾が生えていて柔らかそうでもっちりしたこのフォルムは……いぬちゃん！　お席につくと、すぐに勝手知ったるとばかりにゆっくりし始めてとってもとっても可愛い。カフェ海猫山猫さんはペットと一緒に過ごせるお店なのだけれど、ここまでのんびりしているのを見るに、人間だけではなくて動物にもちょうどいい空間なのかしら。なんて思っているとコーヒーとプリンがやってきました。

コーヒーは深煎りの山ブレンドと浅煎りの海ブレンド。どちらもとっても美味しいのですが、自分の好みとしてプリンと一緒にいただくのであればさっぱりよりこっくりかななんて思って、今日は山ブレンド。海ブレンドは浅煎りだけど酸っぱいって感じではなくて、すっきり軽やかなのにコクがあるさっぱりした味わい。山ブレンドは深煎りだけど苦すぎる訳ではなく、しっかりしていてそれでいて爽やかな味わい。ハンドドリップで淹れられる時からいい香りです。

プリンは見た目からわかる、名前通りのかための素敵な手作りプリン！　一口いただくと、たまご！牛乳！お砂糖！な味わいで、本当に美味しい。たっぷりかかっていて、黒くてつやつやなカラメルはしっかり焦がされていて、お砂糖の甘さと焦げのビターさがたまりません。プリン自体が甘すぎることも甘すぎないこともなく、それ単体で美味しいのに、このカラメルがかかることで風味がグッと増します。なんとなく懐かしい味で、食べていて幸せいっぱいになります。 そこにコーヒーをひとくち。プリンの香りとコーヒーの香りが合わさって、まろやかな風味の中にも爽やかさが吹き抜けます。食べやすい甘さとかたさだから、どんどんスプーンが進んでしまってあっという間になくなってしまうプリン。あっという間だけどとっても充実した時間を過ごせます。

食後にコーヒーを飲みながらちょっとゆっくりしているといると、うとうとしてきてしまうような空間。穏やかな時間が流れていて、静かすぎないけれど静かで、外でせかせか働いて時間に追われている中で訪れるのにぴったり。たくさんいろんなことを考えたり行動したりして疲れちゃったから今日はもうゆっくりしたいな、だったり、この1時間だけ自分のために使おう、なんてときにきっとそっと力になってくれる、そんなお店が海猫山猫さんなのです。

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