注目!吉祥寺名人ずかん!

注目!吉祥寺名人ずかん!

注目!吉祥寺名人ずかん!「どうぶつ名人:唐沢瑞樹さん」

吉祥寺にはたくさんの名人がいます。名人とは、その分野での知識や技術が優れていて、まわりの人にも認められている人のこと。

この名人企画では、吉祥寺で活躍する名人を紹介していきます。

どうぶつ名人プロフィール

今回は、井の頭自然文化園で飼育員として働く、どうぶつ名人を紹介します。

お名前:唐沢 瑞樹(からさわ みずき)さん

お仕事:井の頭自然文化園 飼育展示係 ツシマヤマネコ担当

吉祥寺の好きな場所:トニーズピザ(手作りのチーズたっぷりピザが大好きで、結婚式の二次会をやりました!)

お休みの日にしていること:サウナ・歌舞伎鑑賞・スポーツ観戦(野球、ラグビー)・犬と遊ぶ

名人を知る

日本の生き物140種を展示する井の頭自然文化園。唐沢さんは絶滅が心配されるツシマヤマネコの担当飼育員さんです。

<ツシマヤマネコとは?>

体重:3〜5kg/体長:50〜60cm

九州と朝鮮半島の間に浮かぶ島・長崎県の対馬は、かつて日本列島や大陸と陸続きだったこともあるため、両方の植物や動物がまざりあい、独自の生態系がつくられています。ツシマヤマネコは、10万年前に長崎県対馬に渡ってきたと考えられていますが、森の減少や交通事故が原因で100頭以下まで数が減っています。ツシマヤマネコは畑などで狩りをすることもあり対馬の人々にも親しまれてきました。

<絶滅するとどうなるの?>

ツシマヤマネコが生きていくためには、獲物となるネズミや小鳥、昆虫などがたくさんくらす豊かな森が必要です。ツシマヤマネコがいなくなると、森の生態系に大きな影響をあたえます。ツシマヤマネコを守ることは、貴重な対馬の自然を守ることにもつながります。

日本には1993年(平成5年)4月に施行された「種の保存法」という法律があります。動物や植物が、人間の活動や環境の変化によって、いなくなってしまわないようにする法律です。

たくさんの動物や植物を守ることで生態系を安定させ、人間も動植物もみんなが健康に生きていく環境を維持していくために制定されました。つまり森で生きている昆虫、ネズミや小鳥、ツシマヤマネコたちも豊かな自然の中で生活しているので、それらを守ることは対馬の生態系を守ることだけでなく、我々人間の環境を保つことにもつながっているのです。

名人のお仕事

井の頭自然文化園は環境省と一緒にツシマヤマネコの保護増殖事業に取り組んでいます。唐沢さんは、採血をしたり健康チェックをしたりすることもあるので、ツシマヤマネコにストレスを与えないように信頼関係を築いていくことが必要になります。唐沢さんは毎日ヤマネコ舎に入る前に口笛や鍵の音を鳴らして、”今日も来たよ”の合図を出します。「いつもと同じ時間にいつもと違うことが起こると、動物にとっては異変になりますから」とのこと。ハズバンダリ―トレーニング(健康チェック)のときは、決められた合図に従って必要な動きができるようにトレーニングするのですが、「まず覚えるまでは偶然を繰り返していきます。『偶然できたからそのタイミングでエサの肉をあげる』を何度もやっていくうちに指示を理解してくれます。ネコからしたら最初、こちらがやってもらいたいことなんて意味がわからないですからね」と笑って話してくれました。

名人の気持ち

嬉しいこと:来園者や関心のある人に動物のことを知ってもらうこと。

大変なこと:動物に接していることで大変だと思うことはナシ(天候によって暑すぎて大変とか、大雨とか強風で大変と思うときはある)。

名人から子どもたちへのメッセージ

ツシマヤマネコを守りたいと思った時、人々のくらしや歴史など生息地の状況を知る必要があります。ヤマネコのことだけでなく取り巻く環境を含めて、現地を見に行ってほしと思います。

「動物が好きだからそれで良い」だけではなく、自分の興味があることを広く知っておく、向き不向きをわかっておくことが大切です。自分の得意分野を活かして物事に関わり、周りの人と協力して様々な視野を持つことが目標達成の近道になると思います。
まずは今、いろいろなことを経験し、好きと思ったものを突き詰めながら自分を磨いてく
ださい!

【取材メモ】

子どもの頃に野球選手を目指していた時期もあった唐沢さんは、体力と優しさと探究心を兼ね備えたエネルギーに満ちた方です。

自然の多い環境で育ってきたとのことで、小さな頃から川や木や動物を身近に感じていたそう。ある日、川に捨てられた猫を拾い、家に帰ってミルクをあげると、次の日に猫が死んでしまったというエピソードを話してくれました。動物の命を身近に感じた経験が、今の仕事につながったきっかけのひとつになったのかもしれません。

井の頭自然文化園は、2000年よりツシマヤマネコとともにその近縁である大陸のアムールヤマネコの飼育を始めています。2014年には人工繁殖に成功。今後もこの技術を利用して、ツシマヤマネコの飼育下での繁殖に取り組んでいくとのこと。

井の頭自然文化園を訪れる人は年間約70万人。動物についての気づきや感動を周りの人へ伝える来園者の姿が、飼育員のエネルギーになると唐沢さんは言います。担当しているツシマヤマネコのことを、まずは知ってもらうことが動物を守る第一歩との考えに、さすが名人!と心からの敬意とエールを送ります。

井の頭自然文化園

  • 営業時間
    開園時間 9:30~17:00
    定休日
    月曜(月曜が国民の祝日や振替休日、都民の日の場合は翌日休園日)、年末年始(12月29日から翌年1月1日) ※一部の月曜日を開園することがあります。 ご来園前に必ず井の頭自然文化園のウェブサイトでカレンダーをお確かめください。
    予算/価格帯
    一般 400円(年パス1,600円) 中学生 150円 65歳以上 200円(年パス800円)
  • 電話
    0422-46-1100 井の頭自然文化園管理係
    住所

    〒180-0005 武蔵野市御殿山1-17-6

    JR中央線・総武線、京王井の頭線、各線の「吉祥寺駅」南口(公園口)から徒歩約10分