前進座 舞台のいろは

前進座 舞台のいろは

1931年に創立した前進座は、東京都武蔵野市を本拠とする日本の歌舞伎も上演する劇団です。

「前進座 舞台のいろは」は歴史ある劇団から舞台の裏側を学べるコラムです。舞台まわりの小道具の紹介や知られざる役者さんのあれこれをご紹介します。

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前進座 舞台のいろは「着到板(ちゃくとうばん)」

1931年に創立した前進座は、東京都武蔵野市を本拠とする日本の歌舞伎も上演する劇団です。

歴史ある劇団から舞台の裏側を学べるコラム「前進座 舞台のいろは」では、舞台まわりの小道具の紹介や知られざる役者さんのあれこれをご紹介します。

着到板(ちゃくとうばん)

楽屋の入り口で目に入るのが、出演俳優の名前が記された着到板です。名前の上部には穴があいており、俳優や裏方が楽屋入りすると竹でできた釘を穴に挿します。これがささっていると「もう楽屋入りしているな」と一目瞭然。いわゆる出欠簿のようなものです。

 この他に、表が黒色、裏が赤色の札のタイプもあり、こちらは楽屋入りすると黒にひっくり返します。

 竹釘の刺し忘れ、札の返し忘れなどあるともう大変! 楽屋頭取は 所在確認で大騒ぎ、楽屋中走り回ることになります。

 連絡ツールが進化して、いつでも何処でも連絡が入れられる現代ですが、古き良き伝統の一つとして、着到板は、劇場入りして本番を迎えるという緊張感と高揚感を感じさせてくれます。

 今日も無事に皆が舞台を勤められますように!と送り出し、無事に帰路に着く皆をお見送りします。

執筆者:制作部 椛山麻季子