アンジェリカで映画の話を
毎月第2週にお届けする「カフェ&ワインバル ANGELIKA(アンジェリカ)」共同オーナーの髙田和子さんによるコラムです。コラムを担当する髙田さんはANGELIKAと平行して、現在も映画関連のお仕事をされています。映画愛がつまった月イチの連載コラム、どうぞお楽しみください。
アンジェリカで映画の話を 〜『落下の王国 4Kデジタルリマスター』〜
「週刊きちじょうじ」と「週刊きちじょうじオンライン」で毎月第2週にお届けする「ANGELIKAで映画の話を」。「カフェ&ワインバル ANGELIKA(アンジェリカ)」共同オーナーの髙田和子さんによるコラムです。
ANGELIKAは吉祥寺・中道通り近くに位置するこだわりのコーヒーとワイン、エッグタルトを提供するお店。コラムを担当する髙田さんはANGELIKAと平行して、現在も映画関連のお仕事をされています。映画愛がつまった月イチの連載コラム、どうぞお楽しみください。

『落下の王国 4Kデジタルリマスター』
「お話を聞かせて」「じゃあ目を閉じて」

『落下の王国 4Kデジタルリマスター』
監督・脚本:ターセム
2006年/アメリカ
出演:リー・ペイス、カティンカ・アンタルー
配給:ショウゲート © 2006 Googly Films, LLC. All Rights Reserved.
アップリンク吉祥寺にて上映中


2008年の日本公開以来、配信されることなく“幻”とされてきた作品が、17年ぶりに劇場上映されています。映画撮影現場の事故で入院したスタントマンが、同じ病院に入院している少女に物語を話して聞かせることに。それは、大切な人や誇りを奪われた6人の男たちが織り成す、愛と復讐の壮大な作り話だった…病院でのふたりのシーンと“少女に聞かせる物語の映像化”が、交互に展開します。


創造する力は、絶望からの再生をもたらします。人生の希望を見失ったスタントマンは、少女のために物語を創造することで自らの魂を癒すのです。そして、この映画自体にも観る者を覚醒させる圧倒的な力がみなぎっています。13の世界遺産、24ヶ国以上のロケーションで撮影されたシーンの数々、石岡瑛子による衣装の数々に息をのみ、心を奪われます。
「美しくて涙する映画」です。


『落下の王国 4Kデジタルリマスター』を観たあとは、この映画がおすすめ!『ザ・セル』
『ザ・セル』
監督:ターセム
出演:ジェニファー・ロペス、ヴィンス・ヴォーン、ヴィンセント・ドノフリオ
2000年/アメリカ
ターセム監督は、MTVやCM演出で活躍後2000年に映画監督デビュー。『落下の王国』の前作にあたる初監督作品が『ザ・セル』です。若き女性セラピストが、最新の化学療法によって殺人鬼の心の闇へと潜入していくサイコサスペンス。主演のジェニファー・ロペスは、ジョージ・クルーニーと共演した『アウト・オブ・サイト』で一躍スターとなった直後にこの難役に挑みました。
当時は『羊たちの沈黙』との類似性が語られましたが、私は、前年に公開された『マトリックス』と似た衝撃を受けたことを覚えています。『マトリックス』は仮想現実と現実が交錯する世界を最新のVFXで見せた革新的な作品。一方『ザ・セル』は、主人公が潜入するサイコキラーの精神世界と現実との曖昧な境界線を、完璧に計算し尽された映像美で見せた作品。それまで体験したことのないほどの圧倒的な没入感は、今観ても色褪せません。
そして本作も石岡瑛子の衣装が美しい! 『落下の王国』は、衣装が重要な要素となって美しい場面を創り出していますが、『ザ・セル』は、ジェニファー・ロペスが着こなす衣装が場面の中央に堂々と君臨します。ターセム監督作品は衣装が主役のひとつなのです。