街々書林 Books & Gallery
2023年6月、吉祥寺の中道通りにオープンした書店。「旅する本屋」を掲げ、旅に関する本や雑誌、雑貨を販売。店内奥には貸ギャラリーも。
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- 営業時間
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12:34~18:00
- 定休日
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月、火曜、年末年始(臨時営業、臨時休業あり)
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- 住所
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〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町3-3−9
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吉祥寺中道通りに位置する「街々書林 Books & Gallery」の店主であり、旅に関する本を執筆してきた「旅行作家」でもある、小柳淳さんによる月イチの連載コラムです。本の世界の「旅」を、どうぞお楽しみください。
「週刊きちじょうじ」と「週刊きちじょうじオンライン」で毎月第1週にお届けしている「街々書林の今月の旅する1冊」。 「街々書林 Books & Gallery」は、旅にまつわる本や雑誌、雑貨を販売しているユニークな書店。吉祥寺中道通りに位置しています。街々書林の店主であり旅に関する本を執筆してきた「旅行作家」でもある、小柳淳さんによる月イチの連載コラム、本の世界の「旅」をどうぞお楽しみください。


君はなぜ北極を歩かないのか
荻田 泰永 著
産業編集センター
1,760円
発売日:2024年11月13日
ページ数:416ページ+口絵8ページ
書籍詳細
北極、南極の冒険行を幾度となく経験したする冒険家・荻田泰永が、経験19年目に無経験の若者を連れて北極を600km歩く冒険紀行。南極点無補給単独徒歩到達挑戦中に発想したという若者との冒険行は、その「募集」からして独特だ。つまり募集をしない、「若者を連れて北極へ行く」と宣言するだけで、自ら飛び込んできた者だけを連れてゆく旅になった。著者荻田は「冒険に価値はあるが意味はない」と言う。社会的には意味のない冒険行動によって、現代社会で失われている野生の人間性が研ぎ澄まされ、それが逆に社会に必要となる、と著者。

約1年かけた準備と訓練。その中で14名となった参加者は互いに初めての出会い。冒険どころか海外旅行経験のない人もいる。仕事を辞めて参加した人、長期休暇が許された人、学生も。冒険が始まるとただ黙々とついて歩くことから、葛藤が生まれ、そして徐々に自立性が芽生える。ところどころでスケッチをする芸大生、カメラをなんとなく持ってきた若者が、同行している写真家との交流から撮影に目覚めてゆく。20歳ほど年上の著者は初心者だからといって彼らに容赦ない。非常に厳しい。それが極地の旅なのだ。その過程で荻田は機が熟すのを待ち続ける。タイプも経歴もバラバラな若者たちが、行程の大半の歩行を経て最終局面でついに自律的になる。これは若者たちの成長物語であるとともに、冒険家が自己を見つめ直す旅でもあるのだ。

2023年6月、吉祥寺の中道通りにオープンした書店。「旅する本屋」を掲げ、旅に関する本や雑誌、雑貨を販売。店内奥には貸ギャラリーも。
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町3-3−9