初公開の原画を中心に約200点を展示!「北田卓史展 想い出の空飛ぶタクシー」@吉祥寺美術館

童画家・北田卓史の展覧会「北田卓史展 想い出の空飛ぶタクシー」が、2025年9月20日(土)から11月3日(月・祝)まで吉祥寺美術館で開催されます。児童文学の挿絵として描かれた貴重な原画や、初公開となる「月刊保育絵本1」の原画を展示。さらに、ミニカーのコレクションや、北田が自ら手作りした鉄道模型やジオラマも登場します。会場には『チョコレート戦争』をテーマにしたフォトスポットも設けられ、作品の世界観を体験できます。

また会期中には、北田卓史のご子息・北田暢也氏と各「月刊保育絵本」の編集者によるクロストークや、絵本専門店「トムズボックス」の土井章史氏と、本展のポスター・図録デザインを担当した名久井直子氏によるトークショーも予定されています。

『かきのみ』(詩 三越左千夫)*「チャイルドブック・ジュニア」1983年10月号(チャイルド本社)掲載
『そらへいったゆげ』*「よいこのくに」1966年10月号(学習研究社)掲載

北田卓史(きただ たくし)プロフィール

1921年東京生まれ。1940年、東京工業専修学校機械科卒業。その後、日立工事株式会社で機械技術者として2年勤務。退職後、画家を志し、戦時中は通信兵としてラバウルに従軍。戦後、赤本マンガ作家、探偵小説や偉人伝の挿絵などの仕事を経て、児童書の仕事に専念する。1946年に結成された、日本童画会に参加。1958年度(第12回)および、1959年度(第13回)の日本童画会賞を受賞。1962年、「こどものせかい」(至光社)の表紙ほかで第11回小学館絵画賞佳作賞を受賞。月刊保育絵本や絵本に多数の挿絵を提供した。日本児童出版美術家連盟会員。 代表作に「車のいろは空のいろ」シリーズ(ポプラ社)、『チョコレート戦争』(理論社)、『さとるのじてんしゃ』(小峰書店)などがある。1992年8月没。享年71歳。

学館の創作童話シリーズ 12『はらぺこのとこやさん』(文 小沢正/小学館 1974年)

遺されたアトリエから。初公開の原画たち

会場では、アトリエに遺され長年遺族が管理していた原画の中から、約200点が展示されます。

北田卓史といえば、あまんきみこの童話「車のいろは空のいろ」シリーズの挿絵を思い出す方も多いでしょう。空色のタクシーと運転手・松井さんの姿は、世代を超えて愛されてきました。さらに『山ねこ おことわり(1977年)』や『チョコレート戦争(1965年)』、『さとるのじてんしゃ(1968年)』など、児童文学を彩る数々の名作にも彼の絵が息づいています。

『山ねこ おことわり』(文 あまんきみこ/ポプラ社 1977年)

昭和の子どもたちを魅了した「月刊保育絵本」

一方で、北田卓史の活躍は児童書にとどまりません。1950年代末から70年代にかけて、数多くの「月刊保育絵本」を手がけました。今回の展示では、各出版社の「月刊保育絵本」に掲載された“幻の原画”を初公開。子どもたちの日常や四季の行事、童謡、そして細部にまでこだわって描かれた乗りものなど、その鮮やかな色彩とダイナミックな構図は、今なお見る人を惹きつけます。

『ぼたんを おしたら』(詩 巽聖歌)*「こどものせかい」1963年7月号(至光社)掲載

「こどものせかい(至光社)」、「チャイルドブック(チャイルド本社)」など、代表的な月刊保育絵本に掲載された原画も多数紹介されます。なかでも、1968年に創刊した「ワンダーブック」で一年間掲載されていた山元護久作の「ぼくのライオン」シリーズ(作:山元護久2)から『しもやけ ぞうくん』が本展の図録で復刻! 北田の躍動感のある挿絵と山元の心躍るような文章が、ブックデザイナー・名久井直子氏の手で蘇ります。「ひょっこりひょうたん島」の脚本で知られる、山元護久氏と北田卓史の名コンビの復活です。

  1. 毎月、全国の幼稚園、保育園、認定こども園に届けられる絵本 ↩︎
  2. 山元護久(1934-1978)。放送作家。子ども向けテレビ番組で活躍。特に井上ひさしとの共作『ひょっこりひょうたん島』の脚本で知られる ↩︎
『びっくり たまげた たまごの ぼうけん』(ぶん やまもともりひさ)*「エースひかりのくに」1972年8月号(ひかりのくに)掲載
『ぽっぽぉー よぎしゃ』 (文 矢崎節夫/至光社 1981年)

童画家・北田卓史の世界を味わえる、フォトスポットやグッズも登場!

会場には『チョコレート戦争』をイメージしたフォトスポットも設けられ、思い出に残る一枚を撮ることができます。さらに、展示を見たあとも作品の世界を楽しめる新作グッズが勢ぞろい。本展のビジュアルに登場する“タクシー運転手の松井さん”のトートバッグをはじめ、アクリルスタンド、ハンカチ、マグネット、ミニレターセットなど、多彩なアイテムが登場します。加えて、『チョコレート戦争』をモチーフにしたTシャツやマスキングテープなど、かわいらしくおしゃれなグッズも盛りだくさん! 絵本の世界に浸れる仕掛けがあちこちに散りばめられています。

懐かしい読書体験を思い出す人も、初めてその世界に出会う人も、童画家・北田卓史の新たな魅力を発見できる展覧会です。

※「北田卓史展 想い出の空飛ぶタクシー」展紹介記事内の画像について 無断転載および複写を禁じます。 © 2025 Nobuya Kitada, 武蔵野市立吉祥寺美術館

北田卓史展 想い出の空飛ぶタクシー

  • 開催日
    2025年9月20日(土)~11月3日(月・祝) ※9/24(水)、10/29(水)休館
    時間
    10:00~19:30
  • 料金など
    入館料 一般300円、中高生100円、小学生以下・65歳以上・障がい者のかたは無料
    お問い合わせ
    0422-22-0385 武蔵野市立吉祥寺美術館
    会場

    武蔵野市立吉祥寺美術館

    〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8−16 コピス吉祥寺A館 7F

  • 主催
    [主催]武蔵野市立吉祥寺美術館(公益財団法人 武蔵野文化生涯学習事業団) [協力]ポプラ社/Gakken SEED/小峰書店/至光社/世界文化ワンダーグループ/チャイルド本社/ひかりのくに/フレーベル館/理論社/EHONS(丸善ジュンク堂書店)