街々書林の今月の旅する1冊

街々書林の今月の旅する1冊

吉祥寺中道通りに位置する「街々書林 Books & Gallery」の店主であり、旅に関する本を執筆してきた「旅行作家」でもある、小柳淳さんによる月イチの連載コラムです。本の世界の「旅」を、どうぞお楽しみください。

シリーズ一覧

カメラと旅するアイスランド 北欧絶景風景ガイド 〜街々書林の今月の旅する1冊

「週刊きちじょうじ」と「週刊きちじょうじオンライン」で毎月第1週にお届けしている「街々書林の今月の旅する1冊」。 「街々書林 Books & Gallery」は、旅にまつわる本や雑誌、雑貨を販売しているユニークな書店。吉祥寺中道通りに位置しています。街々書林の店主であり旅に関する本を執筆してきた「旅行作家」でもある、小柳淳さんによる月イチの連載コラム、本の世界の「旅」をどうぞお楽しみください。

カメラと旅するアイスランド 北欧絶景風景ガイド

カメラと旅するアイスランド 北欧絶景風景ガイド
南 佐和子 著
風景写真出版
価格:1,650円
発売日:2019年2月15日
ページ数:144ページ
書籍詳細

氷の土地という名のアイスランド。でも、実は名前のイメージほど寒くはないのです。北極圏に国土の一部が入るほどの高緯度にありながら、大西洋の南からの海流により気温は極寒にはなりません。オーロラの見やすい国・地域にはフィンランド、ノルウェー、カナダ、アラスカなどがありますが、その中では最も寒くない土地なのです。ただ、気温とは別に天候が急変しやすく、暴風雨にも頻繁に見舞われるため、体感ではかなり寒く感じるときはあります。オーロラは英語でnorthern lightsといわれます。オーロラを見るには街の明りが少ないこと、天気が晴れて雲がないことなどが条件ですので、せっかく訪れても目にできないこともあります。

オーロラ、首都レイキャビク郊外(撮影=小柳淳)

アイスランドは火山、氷河、溶岩・火山灰の土地など厳しい自然に支配され、人が居住するのは海岸近くばかりです。横に長い楕円形の島の北側と西側は、半島が複雑に入り組んだフィヨルド地形をなしています。樹木はかなり少なく、緑はわずかな草地くらい。活火山も多数あって噴火も頻繁に起こります。2010年の大噴火では、噴煙の影響でヨーロッパの航空便が大混乱に陥りました。

氷河の末端が崩壊して湖に浮かぶ氷塊(撮影=小柳淳)

本書はアイスランドに魅せられた写真家が、島内の海岸線近くをぐるりと一周するリング1と呼ばれる国道1号線を巡って、カメラに収めた風景とその説明を綴ります。厳しい自然の半面、特異で美しい風景がコンパクトな横長ページ一杯に広がる写真は圧巻です。氷河、荒野、岩山、滝、馬、小さな集落。氷河末端が崩壊して海に流れ出た後に、溶岩が砕けた真っ黒い砂浜に打ち上げられた氷塊が輝いています。簡潔な文章によりガイドブック的にも読めますし、オーロラ写真撮影テクニックも付記されていて、ついつい引き込まれてアイスランドに行きたくなってしまいそうです。

街々書林 Books & Gallery

2023年6月、吉祥寺の中道通りにオープンした書店。「旅する本屋」を掲げ、旅に関する本や雑誌、雑貨を販売。店内奥には貸ギャラリーも。