アンジェリカで映画の話を

アンジェリカで映画の話を

毎月第2週にお届けする「カフェ&ワインバル ANGELIKA(アンジェリカ)」共同オーナーの髙田和子さんによるコラムです。コラムを担当する髙田さんはANGELIKAと平行して、現在も映画関連のお仕事をされています。映画愛がつまった月イチの連載コラム、どうぞお楽しみください。

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アンジェリカで映画の話を 〜『アメリと雨の物語』〜

「週刊きちじょうじ」と「週刊きちじょうじオンライン」で毎月第2週にお届けする「ANGELIKAで映画の話を」。「カフェ&ワインバル ANGELIKA(アンジェリカ)」共同オーナーの髙田和子さんによるコラムです。

ANGELIKAは吉祥寺・中道通り近くに位置するこだわりのコーヒーとワイン、エッグタルトを提供するお店。コラムを担当する髙田さんはANGELIKAと平行して、現在も映画関連のお仕事をされています。映画愛がつまった月イチの連載コラム、どうぞお楽しみください。

『アメリと雨の物語』

「これが、幸せ」

『アメリと雨の物語』
監督:マイリス・ヴァラード、リアン=チョー・ハン
2025年/フランス
3月20日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷、吉祥寺オデヲンほか全国公開

公式ウェブサイト

1960年代の神戸で生まれた、ベルギー人の女の子アメリの成長物語。フランスのアニメーション映画です。家族の愛と日本の四季のもと、アメリは無償の愛を知り、自然の奇跡を知り、想像力が現実を超えることを知り、世の中には「なぜ?」が溢れていることを知り、そして世界は広いことを知っていきます。出会いと別れがあることも。映画の終わりでアメリは3歳になりますが、人生で大切な多くのことを、幼い彼女が一生懸命受け止めていたと思うと、胸がいっぱいになります。

アメリと同じ年頃だった私も、さまざまな“初めて”を、こんなふうに感じ、理解し、成長していったのかもしれない……。思い出すことのできないほど幼い頃の自分のことを、ずっと考えながら映画を観ていました。そして、たくさんのものを見て、感じ、出会い、別れながら生きているアメリの姿に、人生が愛おしくてたまらなくなりました。アメリの、まあるい澄んだ大きな緑の瞳のように、生命力に満ちた映画です。

『アメリと雨の物語』 2025年/フランス/監督:マイリス・ヴァラード、リアン=チョー・ハン 配給:ファインフィルムズ © 2025 Maybe Movies, Ikki Films, 2 Minutes, France 3 Cinéma, Puffin Pictures, 22D Music 3月20日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷、吉祥寺オデヲンほか全国公開

『アメリと雨の物語』を観たあとは、この映画がおすすめ!『Flow』

『Flow』
監督:ギンツ・ジルバロディス
2024年/ラトビア、フランス、ベルギー

公式ウェブサイト

主人公は一匹の猫。世界が大洪水にのまれる中、流れてきた船に乗り、途中で出会う犬、カピバラ、サル、ワシの乗船を許しながら、消えゆく森をあとにしてサバイバルの旅を続けます。

台詞が一切無く、聞こえてくるのは動物たちの鳴き声や息遣いのみ。恐ろしさをまとう大自然の描写を浴びながら、澄んだ大きな瞳の猫に、絶望の世界を仲間と生き抜く共存の力を教えられる映画です。

『アメリと雨の物語』がノミネートを果たしたアカデミー賞長編アニメーション賞に、本作も2025年ノミネート、そして受賞しました。ディズニーやピクサーなどメジャースタジオが強いこの賞を、ラトビアのインディペンデント映画が受賞したことは大いに話題になりました。授賞式でのスピーチを、監督は本作のストーリーにかけてこう締めくくりました。「私たちはお互いに違いを認め、同じ船に乗る仲間です」。

“共に生きる”ことの意味を静かに考えさせられるラストシーンは、1年経った今、ますます胸を打ちます。映画が世界を変えることを信じたくなりました。

『Flow』 2024年/ラトビア、フランス、ベルギー/監督:ギンツ・ジルバロディス Blu-ray ¥4,800(税抜)/¥5,280(税込) DVD:¥3,800(税抜)/¥4,180(税込) 発売元・販売元:株式会社ファインフィルムズ ©Dream Well Studio, Sacrebleu Productions & Take Five.