みなさん、小説の中の世界とどのように向き合っていますか？ 多くの人が小説を「読んで」いると思います。読書を通して小説の世界に入り込んで展開される物語に夢中になったり、新たな学びを得たりしますよね。私も小説はとても好きです。

ですが、小説の世界の味わい方は他にもあります。それは「読み上げる」という方法です。つまり、「朗読」という方法。
ただでさえ面白い小説に感情のこもった声が合わさったら、思わず惹き込まれてしまうのは想像にかたくないでしょう。

とはいえ、朗読の魅力を知るなら私の言葉を読むより実際に聴いてもらうのが一番。まさに「百聞は一見にしかず」です！
そこで今回は、6月19日（月）に吉祥寺シアターにて開催される朗読の魅力を実際に体感できる朗読劇「松本清張 朗読劇シリーズ 」をご紹介します。

松本清張の文学観 × 五感を揺さぶるプロ俳優の朗読

この「松本清張 朗読劇シリーズ」は北九州市立松本清張記念館友の会の企画として2003年から始まった朗読劇公演です。朗読を行うのは武蔵野市を拠点に活動する歌舞伎劇団「前進座」。そのメンバーの中でも前進座を代表する3人の俳優が松本清張の社会派推理小説を読み上げます。

松本清張といえば『或る「小倉日記」伝』で芥川賞を受賞し、『点と線』『眼の壁』で松本清張ブーム、社会派推理小説ブームを巻き起こした小説家さんですよね。手に汗握るスリリングな小説世界は普段の読書でもつい惹き込まれてしまいます。
今回の公演では、松本清張の作品の中から『ゼロの焦点』『駅路』『青春の彷徨』『或る「小倉日記」伝』がピックアップ。
普段からお芝居の稽古を重ねているプロによる名作の朗読……普段の読書とは一味違った世界を堪能できそうですね！

公演は日本全国を回っており、東京・吉祥寺で開催されるのは6月19日（月）。場所は吉祥寺シアターです。
東京公演は3部制となっており、14：00からの回は北陸地方を舞台とする長編推理小説『ゼロの焦点 』、15：45からは短編『駅路』『青春の彷徨』の2本、17：30からは松本清張の出世作『或る「小倉日記 」伝 』が読み上げられる予定です。
料金は各回3,000円となっていますが、2回見る場合は1,000円引きの5,000円、3回全て観る場合は2,500円引きの6,500円となります。

松本清張 作品あらすじ

『駅路』
平凡な人生を耐え忍び、定年という駅路に到着した時、残された人生を愛人と過ごそうとして失踪した男にやがて悲惨な結末が……。短編ミステリーの名作。

『或る 「小倉日記」 伝』
芥川賞を受賞した松本清張の出世作。情熱を注ぎこんだ果てに、努力が無に帰する人間の悲劇。それは、清張が生涯追い続けて止まないテーマです。

『ゼロの焦点』
金沢へ行ったまま失踪した夫の行方を求め、北陸地方を尋ね歩く禎子。やがて関係者が次々と殺され、物語は戦後日本に生きた一人の女性の過去を暴き始めます。旅情あふれる社会派推理の代表作。

『青春の彷徨』
恋人同士の若い二人が、美しい死に憧れ、阿蘇や耶馬渓を彷徨い歩く。やがて悲哀と皮肉に満ちた結末が……。どこか心地よい初期短編の佳編。

前進座公演 北九州市立松本清張記念館プロデュース「松本清張 朗読劇シリーズ」概要

興味を持ったらチャレンジしてみよう！ 「大人のための朗読教室」開催中

この公演に触発されて朗読に興味を持ったときのために、前進座さんが開催されている朗読教室のことも合わせてご紹介しておきますね。

前進座さんは「初めてだけど朗読に挑戦したい！」「お子さんやお孫さんに読み聞かせをしたい！」「ハキハキ喋れるようになりたい！」といった方へ向けて、「大人のための朗読教室」を開催されています。
テキストとして扱うのは日本の文芸作品や古典・民話、名作舞台の台本、歌舞伎作品など多彩なジャンルの作品。劇団前進座の俳優さんたちが講師として、俳優ならではの表現力を伝授してくれますよ！

コースはすでに始まってしまっていますが、単発での受講が受け付けられています。教室の雰囲気が知りたい方や一度体験してみたい方も利用しやすそうですね！単発受講は1回につき5,000 円（教材費含む）となっています。
プロの俳優から直接指導が受けられる貴重な機会！ ちょっとでも気になったら一度覗いてみましょう！

ちなみに、前進座さんは公式YouTubeチャンネルを開設されており、そちらでは前進座にて娘役から老姥、教師にテロリストに虫まで（！）幅広い役をこなす黒河内雅子さんによる『外郎売』の実演を観ることができます。ハキハキとして聞き取りやすく、抑揚や身振りまで見事な朗読です！ ぜひ一度観て、朗読教室で学んだあとの自分の姿を想像してみてくださいな！