タイヒバン
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- 営業時間
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ランチ 11:30~14:30 ディナー 18:00 ~ 23:00
- 定休日
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月曜、火曜(祝日の場合は翌日)
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- 電話
- 住所
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〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-22−3
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吉祥寺駅から徒歩5分、井の頭通り沿いの道を左手に曲がると見えてくる、オーガニックレストランの「タイヒバン」。前編ではタイヒバンの店名の由来や土づくりなどについて、タイヒバンを運営している「オーガニックキッチン」代表で建築家の湊 泰樹(みなと たいき)さんにお話をうかがいました。後編は自社農園で採れたブドウでできたオーガニックワインや仕入れる野菜のこだわり、妊婦さんや子どもにも優しい店づくりについてお届けします。
Index
Toggleタイヒバンの店内を見渡すと、そこかしこにあるワインの数々。これらはすべて、タイヒバンを運営するオーガニックキッチンが持つ自社農園「オーガニックキッチン音川ファーム」で採れたブドウで作られたワインなんです! どんなブドウなのか湊さんにお話を聞きました。
「パネルの写真にある通り、音川ファームではブドウを栽培しています。農園には鶏やヒツジがおり、落ちたブドウや米ぬかなどを食べ“すごい堆肥”がひかれた地面にフンをします。鶏はそこで砂浴びもしますから、土をかき混ぜてくれるんですね。人手をかけずに自然と質の高い土になるんです。土壌環境の整った場所で育ったブドウなので、完全オーガニックなんですよ」と教えてくれました。
土を良くする利点はブドウの生育だけに留まりません。豊かな土壌で放し飼いで育てられた鶏が産む卵は、配合飼料を使わない「ひらがい卵」としてタイヒバンで販売されています。動物に手助けしてもらいながらよりよい環境をつくると、よりよい作物が採れる。いたってシンプルなしくみの中に、湊さんの信念を感じました。
ワインについて詳しく聞くと、現在タイヒバンでは赤・白・ロゼ・黒の4種類をつくっているとのことです。さらに4種類のワインにはそれぞれ、炭酸が無い「スティル」、発酵時のやさしい炭酸だけが入った「ペティアン」の2つのバリエーションがあり、合計8種類のワインが製造されています。醸造は都内2ヶ所と長野のワイン工房で行われており、砂糖、酸化防止剤、ワインイーストを加えずに完全オーガニックのワインがつくられています。
「毎年ブドウの出来をみながらどんなワインにするかを決めています。オーガニックワインはブドウの質がすべてなので、どんなワインが作れるのか楽しみながら行っています。ワインのほかにもシロップやジュース、コンフィチュール1も作っていますよ」と話す湊さん。湊さんは自ら手がける農園のノウハウを生かし、三鷹や相模原で農園のアドバイスや設計なども手掛けているそうです。建築家、空間デザイナーとしての仕事と農業がひとつにつながっているんですね!
タイヒバンの店内に入ると、入り口近くにトマトや玉ねぎ、エシャロットなどが並んでいました。新鮮でとっても美味しそうです! タイヒバンでは、毎週金曜日につながりのある農園から野菜を仕入れているとのこと。詳しく聞いてみたところ、湊さんのこだわりを教えてくれました。
「料理を食べに来た方だけでなく、仕入れた野菜や果物を買ってもらえたらと思い、普段は店の軒先に置いてあるんです。暑い時期は店内に置いてあるんですけどね。タイヒバンではつながりのある農園から毎週金曜日に野菜や果物などを仕入れているんですが、何が届くかわからないんですよ(笑)。というのも、自分が仕入れを指定していないからなんです。私も農園を持っているので、農家さんの気持ちがわかります。農家が特定の野菜を安定して供給するのは意外と大変なので、あえて指定していないんです」と語ります。続けて、「売れ残ったら農家さんに野菜を返すこともしていません。仕入れたものはすべてお店でサラダなどに料理してお出ししているんです」と、仕入れのこだわりを教えてくれました。
湊さんの生産者にやさしくありたいという気持ちが伝わってきます。何が届くかわからないことを、あえて楽しみながら取り組んでいる姿勢がとても印象に残りました。
タイヒバンの入り口をくぐると右手に座敷スペースがあります。このスペースは先代のオーナーが「LIPルーム」と名付け、子ども連れや妊婦さんが利用できるように設計されました。現オーナーの湊さんもこの取り組みを引き継いでいます。
湊さんは「質の高いお肉を食べに、妊婦さんがタイヒバンに訪れることもあるんですよ」と話されていました。食と空間を含めて妊婦さんでも安心して来られるお店づくりを取り組んでいるんですね。
LIPルームの壁は堆肥を混ぜたしっくいでできています。天窓から差し込むやさしい光とあいまって、とても落ち着きを感じられる空間になっています。壁にかけられた動物や人々の絵画もタイヒバンのコンセプトを表しているようで素敵です! 子どもと一緒に、ちょっといつもと違うお店で食事をしてみたい方にはぴったりな空間だと感じました。
さて、前編後編にわたってお届けしたタイヒバンの特集はいかがだったでしょうか。ユニークな店名の由来やタイヒバンの取り組みなどについて、興味深いお話をたくさん聞くことができました。建築から農業まで多岐にわたる活動には、湊さんの一貫した信念が感じられました。自然環境を考えながら、おいしい料理を届けるタイヒバンの取り組みに、今後も注目したいと思います!
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-22−3
1975年に創刊し、2022年3月で創刊47年を迎える週刊きちじょうじ。吉祥寺のおいしいグルメ、カルチャー、話題のトピック、ニュースがわかる、吉祥寺で暮らす人のためのタウン誌のオンライン版です。