「虹は色彩の原点」。吉祥寺のギャラリーにじ画廊の歴史に迫る!

吉祥寺のギャラリーといえば、みなさんはどこを思い浮かべますか? 今回ご紹介する「にじ画廊」は2003年にオープンし、昨年2023年に20周年を迎えたギャラリーです。にじ画廊は東急百貨店吉祥寺店のすぐそば、昭和通り沿いの賑やかな場所に位置しています。ギャラリー独自のセンスでチョイスされた作家のグッズが並び、常にフレッシュな作品を展示しているにじ画廊。週きちでもこれまでににじ画廊の展示をご紹介してきましたが、その始まりはどのようなものだったのでしょうか。
にじ画廊の歴史について、オーナーの吉田さんと、店長の平田さんが不在だったためスタッフの池内さんにお話をうかがいました!

にじ画廊の立ち上げ前夜。あのハンバーガーチェーンとの関係とは?

左からスタッフ池内さん、オーナー吉田さん、スタッフ石井さん。吉田さんはだいたい毎日ギャラリーにいらっしゃるそうです!

にじ画廊の1階には作家が手がけたオリジナルグッズが並び、奥には小さなギャラリースペースがあります。2階は白い壁と木の床が特徴的な、広々としたギャラリースペースになっています。

なんとこのにじ画廊はもともとあのハンバーガーチェーンだったそうで…!

「2003年の7月ににじ画廊を立ち上げました。今年2024年で21周年になります。もともとサラリーマンだったんですが、早期退職して何か新しいことを始めたいと思ったんです。絵を見るのが好きだったので、ギャラリーや古本屋みたいなものがいいかと思ったんですけど、商売のことを何も知らなかったので…。そこで、“フレッシュネスバーガー”ってなんだか流行りそうだなと思い、5年ほど経営していたんですね。そこである程度、商売ってどういうものかわかったんです。」

当時のフレッシュネスバーガーはまだ店舗数も少なく、知名度も低かった時期でした。繁華街への出店は現在のにじ画廊の場所にあった吉祥寺店が初めてだったそうです。

「そのまま飲食店を続けるのも大変だったので、本来やりたかったギャラリーをはじめようと思ったんです。」

ちなみに、にじ画廊で使われている什器はフレッシュネスバーガー時代のものが使われているそう! 言われてみると、どことなく見覚えがあるかも…? 建物自体もフレッシュネスバーガーの店舗をリフォームして作られているとのことです。

写真の奥が1階のギャラリー。左手の階段から2階へ行けます
2階のギャラリーのようす。フレッシュネスバーガー時代のテーブルや椅子が使われています!

「何もわからずにギャラリーをはじめた」にじ画廊の最初の一歩とは?

「ギャラリーをどうやっていいかもわからなかった」と当時を振り返り笑顔を見せる吉田さん。にじ画廊のはじまりにはフレッシュネスバーガーでの偶然の出会いがあったそうです。

「たまたまフレッシュネスバーガーでアルバイトをしていたイラストレーターのぼたん1っていう方がいました。彼女に声をかけて一緒にギャラリーを立ち上げないかと誘ったんです。」

雑誌に載ったぼたんさんの絵を見せてくれました! とっても素敵な絵です!

二人ともギャラリーのやり方は知らなかったそうですが、ぼたんさんの知り合いづてに作家を集めてなんとかギャラリーのオープンにこぎ着けたとのこと。

「ぼたんは自身で展示をしていたこともあり、ギャラリーがどんなものかは何となく分かっていたようです。私は何も知りませんでしたが(笑)。最初にぼたんとどうするか話し合って、イラストレーターを集めた名簿を元に、全員に案内状を送ったんです。」

その結果、にじ画廊のオープニングパーティーは大盛況だったそうです! 「店の外まで人があふれて、2階に上がれないほどでした(笑)」と吉田さん。にじ画廊のスタートは華々しいものだったんですね!

吉田さんの娘さんにも手伝ってもらって案内状の宛先を書いたり、作家さんに支払う集計の仕方がわからなくなって困ったりと、当時のことを「怖いもの知らずだった」と笑いながら話してくれました。にじ画廊の“青春時代”を聞けたようで感動しました!

にじ画廊のオープニングから2ヶ月後、水森亜土さんの展示を行ったそうです。今年2024年の水森亜土さんの展示は2019年以来5年ぶりでした!
  1. Sonon Button / ソノン ボタン 。イラストレーター。にじ画廊立ち上げメンバーとして2012年までにじ画廊に在籍。https://www.instagram.com/sononbutton/ ↩︎

入りやすいギャラリーを目指して。にじ画廊のお店の特色

1階の雑貨スペースのようす。ほかではお目にかかれないグッズもたくさん! プレゼントにもおすすめです

にじ画廊は作家にとって憧れのギャラリーという印象がある私。にじ画廊で展示される作家さんはどのように選ばれているのでしょうか?

「はっきりした基準があるわけではないんです。最初はぼたんがイラストレーターとしての経験を活かして作家さんを選んでくれていました。2代目の店長は美大出身の古川さん。今は3代目の店長の平田さんが担当しています。にじ画廊で展示される作家さんは店長の好みが反映されていると思います。なので、店長が変わるたびににじ画廊のテイストも少しずつ変わっているように感じますね。私は特に口を出さないようにしています。」

続けて「誰でも気軽に入れるギャラリーにしたいという思いは最初からありました。ギャラリーって、一般の人にはちょっと入りにくいじゃないですか。私もギャラリーを始めるまではあまり入ったことがありませんでした(笑)」と吉田さんは語ります。

にじ画廊の1階に雑貨スペース、2階にギャラリーというスタイルは、オープン当初から現在まで変わっていないそうです。1階で雑貨を楽しんだ後、2階で展示を鑑賞できるのが、にじ画廊の大きな特徴です。

吉田さんは「絵が好きで、ファンとして楽しんでいるだけなんです。専門的なことはわからないので(笑)」と謙遜します。吉田さんのその“お客さん目線”が、にじ画廊を素敵な場所にしているのだと感じました。

「虹は色彩の原点」―にじ画廊をやってきた喜び

20年以上吉祥寺の街とともに歩んできたにじ画廊。最後に吉田さんとスタッフの池内さんににじ画廊を運営してきて良かったことを聞いてみました。

「毎週違う方が展示をしてくださるので、いろんな出会いがありますし、素敵な作品を見ることができます。気に入った絵があれば、たまに買って自分の家に飾ることもあります。気に入った絵というのは、見飽きることがありませんね。」

吉田さんのおっしゃる通り、原画っていいものですよね! 好きな作家の直筆の絵を飾ることは、大げさではなく人生を豊かにするものだと思います。「とはいえ、気に入ってもすぐには買わないようにしているんですよ」と吉田さん。「お客さんのために展示しているので、私が先に買っちゃマズいので(笑)」と笑顔で話されていました。

スタッフの池内さんは「にじ画廊で初めて絵を購入されるお客さんがいらっしゃることがあり、その瞬間に立ち会えることが嬉しいです。絵を買うのって、なかなかハードルが高いと思うんですが、その特別な瞬間に寄り添えるのが喜びです」と話していました。

気に入った洋服を選ぶように、気に入った絵や作品を購入することはとっても素敵なことですよね。

後日、にじ画廊の店名の由来についてうかがったところ、「色々な案を初代店長のぼたんさんと検討したのですが、虹は色彩の原点なので、画廊の名前にふさわしいと思いました」と納得の答えを教えていただきました。

にじ画廊の立ち上げの話や考え方に触れることのできた今回のインタビュー。にじ画廊の名前にぴったりな、柔らかな雰囲気そのままの吉田さんのお話に終始癒された取材でした!

9月上旬のにじ画廊のラインナップ

そんなにじ画廊の9月5日からのラインナップはこちら。にじ画廊の確かなチョイスが光る、素敵な作家さんの展示です。ぜひ足を運んでみてくださいね!

1Fギャラリー〈むくり solo exhibition『かんちがい』〉

©mukuri

手芸作家・むくりさんによる個展です。新作の編みぐるみ、アクセサリー、刺繍キャップなどハンドメイドの作品を中心に展示販売が行われます。

開催日:2024年9月5日(木)〜17日(火) ※水曜定休
時間:12:00〜20:00 ※最終日18:00まで

2Fギャラリー〈水越智三 個展「Matching Outfits」〉

©Tomomi Mizukoshi

イラストレーター水越智三さんの個展です。鮮やかな色彩とコピーアンドペーストを用いた図形で描く、ポップな世界をお楽しみください。

開催日:2024年9月5日(木)〜17日(火) ※水曜定休
時間:12:00〜20:00 ※最終日18:00まで

にじ画廊

吉祥寺北口、東急横にあるギャラリー&ショップ。 2003年、イラストレーションやアートの展示を中心に、表現のジャンルにとらわれない開かれたコミュニティスペースとしてスタート。2023年にリニューアル。オープンな雰囲気で一見(いちげん)さんでも気軽に立ち寄れ、街の人たちから愛されています。

  • 営業時間
    営業時間 12:00~20:00 ※展示最終日は18:00まで
    定休日
    水曜日
    予算/価格帯
    作家さんの作品やレアなオリジナルグッズなどが購入できます。 現金の他にキャッシュレス決済も可能。 ・クレジットカード 一括払いのみ(VISA・Mastercard・American Express・JCB/Diners Club/Discover) ・iD ・交通系IC(PiTaPa以外) ・PayPay
    メモ
    1Fはイラストレーターや作家による雑貨やグッズを扱うショップと2023年新設のギャラリー。 2Fは広々とした空間で展示作品を活かせるギャラリーです。
  • 電話
    0422-21-2177 (faxは0422-21-2166)
    住所

    〒180‐0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2‐2‐10

    JR中央線 吉祥寺駅より徒歩4分

  • Mail
    nijigaro@gmail.com
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