アンジェリカで映画の話を
毎月第2週にお届けする「カフェ&ワインバル ANGELIKA(アンジェリカ)」共同オーナーの髙田和子さんによるコラムです。コラムを担当する髙田さんはANGELIKAと平行して、現在も映画関連のお仕事をされています。映画愛がつまった月イチの連載コラム、どうぞお楽しみください。
アンジェリカで映画の話を 〜『侍タイムスリッパー』〜
「週刊きちじょうじ」と「週刊きちじょうじオンライン」で毎月第2週にお届けする「アンジェリカで映画の話を」。「カフェ&ワインバル ANGELIKA(アンジェリカ)」共同オーナーの髙田和子さんによるコラムです。
ANGELIKAは吉祥寺・中道通り近くに位置するこだわりのコーヒーとワイン、エッグタルトを提供するお店。コラムを担当する髙田さんはANGELIKAと平行して、現在も映画関連のお仕事をされています。映画愛がつまった月イチの連載コラム、どうぞお楽しみください。
『侍タイムスリッパー』
今はこの時代を精⼀杯⽣きねばな。
『侍タイムスリッパー』
監督・脚本・撮影・編集:安⽥淳⼀
主演:山口馬木也
2023年/日本
吉祥寺オデヲンほか全国公開中
公式ウェブサイト
8月に都内では池袋1館で公開され評判が広がり、1ヶ月で公開館が全国区に拡大。今も各地で上映中という話題作です。幕末の侍が現代の時代劇撮影所にタイムスリップし、斬られ役として生きていくというストーリー。侍は、共に生きた同志の情熱や無念を無きものにしたくないという思いで、誠心誠意、役をやり遂げます。その姿がカッコいい! 時代は変わる。ものごとには終わりが来る。でも、それが今日じゃないのであれば、今自分ができることを信じるままにやるべきだ。タイムスリップものを観ると、今という時間がかけがえのないものであることに気づかされるのです。
資金難の監督に、脚本が面白いからと救いの手を差し伸べたのが東映京都撮影所。10名足らずの自主映画のロケ隊が時代劇の本家で撮るという前代未聞の完成を遂げた本作。東映京都で最初のカチンコが鳴った時の監督たちの気持ちを考えると、胸が熱くなります。
『侍タイムスリッパー』を観たあとは、この映画がおすすめ!『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』
おすすめのもう1本はタイムスリップものを! 好きな映画が20本くらいすらすらと出てきますが、カフェANGELIKAでつい最近お客様と「素敵な映画ですよね」と盛り上がったこの映画を紹介します。
主人公のティムは、21歳になった時に父から一族の秘密…代々男性にはタイムトラベル能力が備わっていることを聞かされます。「パパは何にパワーを?」「ひたすら読書だ。人が一生に読める本を2回ずつ読んだ」。理想の人生を送れたよと言うパパが素敵。ティムはパワーを使って恋人を作ろうとして、愛は特殊な能力で得るものではないことを学び、メアリーと知り合ってからは、彼女を喜ばせたいためだけに能力を使うようになります。そして同時に、能力など使わない、彼女を待つ時間や、ふたりの関係のために遠回りする時間の愛おしさを知っていくのです。
題名の通り時間についての映画であり、人生についての映画です。毎日を2回繰り返すくらいの気持ちで丁寧に過ごしてみよう、緊張や不安で見えなかった人生の素晴らしさに気づけるよと、この映画は教えてくれます。