街々書林の今月の旅する1冊

街々書林の今月の旅する1冊

吉祥寺中道通りに位置する「街々書林 Books & Gallery」の店主であり、旅に関する本を執筆してきた「旅行作家」でもある、小柳淳さんによる月イチの連載コラムです。本の世界の「旅」を、どうぞお楽しみください。

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翻訳できない世界のことば 〜街々書林の今月の旅する1冊

「週刊きちじょうじ」と「週刊きちじょうじオンライン」で毎月第1週にお届けしている「街々書林の今月の旅する1冊」。 「街々書林 Books & Gallery」は、旅にまつわる本や雑誌、雑貨を販売しているユニークな書店。吉祥寺中道通りに位置しています。街々書林の店主であり旅に関する本を執筆してきた「旅行作家」でもある、小柳淳さんによる月イチの連載コラム、本の世界の「旅」をどうぞお楽しみください。

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翻訳できない世界のことば

翻訳できない世界のことば
エラ・フランシス・サンダース 著
前田まゆみ 訳
創元社
価格:1,760円
発売日:2016年4月7日
ページ数:112ページ
書籍詳細

翻訳できない言葉というのは、単語ひとつでは訳せないもののこと。

例えば日本語の「どうも」を和英辞典で引くと、Thank you や just、very などが記載されていますが、どうもスッキリしません。多分それは文にして説明しなければ本当の意味はわかってもらえない気がします。言葉はそれを話す社会の歴史や暮らしにぴたりと寄り添っているので、一対一で対応させることは難しいのです。もちろん固有名詞のことではなく、名詞や形容詞などの普通の言葉に関してです。このような翻訳できない言葉の持っている意味を知ることは、その言葉が話されている土地の文化などの背景を知ることにつながるように思えます。

日常に複数言語生活がある。シンガポールの地下鉄車内(撮影=小柳淳)

この本には、「はじめてその人に出会ったときの、自分の目の輝き」をひとつの言葉で言えてしまう言語も載っていて、ひとつの単語がこんな深い意味を持ってるなんて素敵ですし、驚きでもあります。日本語の「しっぽり」もそのままではほぼ翻訳不可能で、いくつもの言葉を重ねて説明しないと意味が通じない言葉です。どの文化・社会でもそういった特有な言葉や表現を持っているのだと思います。

この本は世界中で話されている様々な言語にある、ほかの言語に訳し難い、訳せない言葉を選んで軽やかに紹介をしています。説明も柔らかな文ですし、1ページを埋めるイラストと一緒の絵本のような素敵な一冊です。

ことばは人々の社会と暮らしに密接。アムステルダムの街角(撮影=小柳淳)

街々書林 Books & Gallery

2023年6月、吉祥寺の中道通りにオープンした書店。「旅する本屋」を掲げ、旅に関する本や雑誌、雑貨を販売。店内奥には貸ギャラリーも。