吉祥寺村立雑学大学2072回(2021/05/01)雑大レポート『地域の教育力を高める!』

====== 本記事は、雑学大学に参加された方によるレポート記事です ======

「子供が地域から消えた」と言われて久しい。塾、各種教室、電子ゲームなどの浸透により、この数十年間に渡って子どもの放課後や休日の生活は大きく変貌してきた。そのような中で、地域で子どもが育つ条件とは何なのか、今回の講義はそこに焦点を当てたものであった。講師は生涯学習論や社会教育学を専門とし、地域では武蔵野の森を育てる会の活動を展開していることから、これらの知見・経験を総合的に組合せた内容であった。

 まず、「Ⅰ 子どもたちには、どのような社会人になってもらえればよいのか?」では、社会人基礎力、キーコンピテンシー、非認知能力、社会人力といった能力観をもとに、コミュニケーション、前向きな気持ち・姿勢、体験、社会をつくる(変える)力の重要性を指摘し、これらは学校教育だけでは決して身につかないことを強調した。

 次に「Ⅱ 子どもの育ちを考えるためのキーワード」では、自己形成空間、経験、偶発的学習、参画、居場所、非認知能力を上げて、それぞれの用語の意味を解説した。

 最後に「Ⅲ 子育て(子育ち)空間としての地域とは?」では、居場所、経験、偶発的学習、自己形成空間、参画などが重要だと訴え、そのためには地域の大人と子どものやりとりが大きな意味をもつことを指摘。とくに、大人が子どもに教えるだけではなく、対等な関係での学び合い、ときには子どもが大人に教えることも重要と指摘した。そのうえで、地域(コミュニティ)の教育力の特性は、子ども・大人を含めあらゆる人々が学び、学び合う事のできる地域社会の「学習促進力」であり、子どもと大人が共に育てることにあると訴えた。そのためには、コミュニティ協議会(コミセン)、青少協、PTA、地域社協、児童館、武蔵野プレイス、市民会館など、地域の諸施設・団体が連携していくことが必要で、それによって地域の社会教育が充実していくのだと強調した。

 地域と学校の協働も大切だとし、それによって教育活動と地域づくり活動の融合、地域づくりの担い手としての子供の成長、学校をベースとした地域の人間関係の広がりと大人の学習が促進されることを解説した。

 講義は、「私たちの地域の子どもたちを私たちの手で、心で育てよう!」というメッセージで締めくくられ、子どもの成長に対する地域の大人の役割の大きさが強調された。地域で子どもたちが健やかに育つために市民は何をすればよいのか、子どもたちの成長に対する私たち大人の役割と責任を、今一度とらえ直す必要がありそうだ。

講師:田中 雅文 氏