「ノーマ・C & ベルント・ハウク 銅版画展」 繊細に自然を切り出すドイツ作家夫婦の世界
リベストギャラリー創で作品を展示される作家さんは日本にとどまりません。3月3日から9日まで開催されている「ノーマ・C & ベルント・ハウク 銅版画展」に出展されている作家さんはなんとドイツの画家さん。在廊の予定はなく、直接お話することはできませんでしたが、作品を扱う画商さんにお話を伺うことができました。
線が魅力の銅版画 その繊細さは必見です!
作品を制作したベルント・ハウクさんとノーマ・C・ハウクさんはご夫婦。ふたりともドイツのウォルスブルグ出身です。画商さんは30年ほど前にドイツのフランクフルトで彼らと知り合い、以後日本で二人の作品を扱っているといいます。
ハウクさんご夫婦の作品は銅版画。プレスから彩色までお二人の手でされているため、どれも世界で一つだけの作品です。作品の特徴はなんといっても線の繊細さ。動物の毛並みや植物の筋、昆虫の羽模様などが、本当に細やかな線で一本一本丁寧に描かれています。
また、銅版画の特性上、絵に凹凸があるのも特徴です。この特徴を生かして、版の形を変えてプレスすることで絵に立体感を与える工夫もされています。
ほとんどが動物や植物といった自然をテーマにしています。画商さんによると、北欧近くに住む人は動物が大好きで、ハウクさんも自然をモチーフにした作品が多いんだそう。実は、ドイツの緯度は北海道と同じくらい。ベルント・ハウクさんの作品『フォーシーズンズ』に描かれたドイツ四季の風景には、日本の四季のイメージとは少し雰囲気が違った、見えない向こうまで感じる広がりがあるように思いました。
ノーマ・C・ハウクさんの作品は、目の前の動植物に注目している印象。画商さんによると、ノーマさんは昆虫が大好きとのことで、どの版画にも昆虫が登場しています。切り取った風景の描きこみはとても繊細で、植物が密集している様などは版画で作られたものだとは思えないほどです。昆虫も羽の模様や脚はもちろん、蜘蛛の巣の細い線まできれいに表現されていて、描いた作家さんの集中力の高さに思わず感服してしまいました。
先に述べたように、今回展示されている作品は自然をモチーフにしたものが多いですが、中には妖精が登場する絵や魔法のように描かれた作品もあります。ドイツにはグリム童話の舞台となった街が点在しており、それをつなぐ「メルヘン街道」という街道もあるほど。ベルント・ハウクさんの作品にもそれが描かれているんですね。
私が一番ビックリしたのは『クラシックカー』という作品。細い線を密集させた、車体前面やタイヤの詳細な表現に高い技術を感じます。過去には帆船を描いた作品もあったそうですがそれはすでに売れてしまったそうです。(ちなみに、画商さんによると帆船やテディベアの作品はすぐに売れることが多いんだそうですよ。)
絵画の入門にもぴったりな作品展
たくさんの魅力的な作品が展示されていますが、今回は中でも絵画に触れるきっかけとなるような作品に絞っているとのこと。お値段も一万円程度から購入できるものが多く展示されています。ベルント・ハウクさんとノーマ・C・ハウクさんお二人の詳細に描きこまれた銅版画は、繊細なのに力強く、いつまでも眺めていたい空間が広がっています。それでいて、落ち着いた印象なので、どの部屋に飾ってもマッチしそうです。自分のためでも良いですが、大切な人へのプレゼントに絵を送るのもアリですよね。
作品展は3月9日まで。ベルント・ハウクさん、ノーマ・C・ハウクさんのファンだけでなく、絵に興味がある方、部屋に飾る絵画をお探しの方も是非足を運んでみてください。今回の作品展はきっといいきっかけになりますよ。