デザイン、アート好きにおすすめ!「ようこそデザニャーレ」に動物園・水族園のデザインが大集合!@井の頭自然文化園

みなさんは都立の動物園や水族園にデザイナーがいるのをご存じですか? 解説パネルやイベントのチラシ、グッズなど園内の多くのデザインは園所属のデザイナーが制作しているんです! 「ようこそデザニャーレ -東京どうぶつえん すいぞくえんデザイン室-」は、生きものの魅力をよりわかりやすく、楽しく伝えたいというスタッフの思いから企画されました。都立の4つの動物園・水族園(上野動物園、多摩動物公園、葛西臨海水族園、井の頭自然文化園)が連携し「デザイン」にスポットを当てた特設展。特集記事でお届けします!

「デザニャーレ」ってなんだろう?

展示のタイトルになっている「デザニャーレ」、どんな意味か気になりますよね! デザニャーレはデザインの語源であるラテン語の「designare」から作られた造語で、designareの音が「ニャー」と聞こえることから名付けられました。猫を連想させる展示タイトルにちなみ、デザニャーレで働くすべてのスタッフは“猫”を元にした名前になっています。会場は、そんなデザイナーたちが働く「デザイン室(通称デザニャーレ)」という設定。さらに、会場のBGMはデザイナーが撮影時に使うカメラのシャッター音やペンの音、動物の鳴き声を元に作られ、展示の楽しさを一層引き立てています。

展示入り口のようす。本展オリジナルのリーフレットももらえますよ!

動物園・水族園のデザイナーのデスクを見てみよう

「デザイナーデスク」のコーナーではデザニャーレで働くデザイナーのデスクが展示されています。よく見ると、チラシに書かれた指示やパソコン上でのやりとりを模したモニターなど、デザイナーの仕事が追体験できる仕組みになっています。展示内容について園所属のデザイナーさんにおうかがいしました。

「デスクには実際に使われたチラシや資料が展示されており、パソコン上でのやりとりもほぼリアルです(笑)。都立の4園のうちデザイナーが在籍しているのは、上野動物園、井の頭自然文化園、葛西臨海水族園の3園で、3つのデスクはそれぞれのデスクを再現しています。ぜひ細かな部分まで見ていただきたいです!」

指示が書かれた付箋や動物のスケッチなど、ついつい見入ってしまうポイントがたくさんあります! チラシには多くの指示が書かれており、デザインをする際の苦労も多そうです。動物園・水族園のデザイナーとして、大切にしていることをうかがいました。

「展示の入り口に掲げているとおり、“主役は生きもの”だということを忘れないようにしています。1つの生きもののデザインでも、リアルに描くのかデフォルメするのか様々な表現がありますよね。足の本数や魚のヒレの見え方など、生きものをデザインしていく上で外せないポイントは大切にしています。デザインだけでなくイラストを描く機会も多いので、飼育員にアドバイスをもらうこともあるんですよ。実際に生きものを観察できる場にいるのは、とても勉強になります。」

たしかに、生きものを直接観察できるのは在園デザイナーの強みです。園所属のデザイナーはチラシやグッズのデザインだけでなく、園内の標識や解説パネルのデザインも担当しています。生きものに対する知識とデザインによる工夫が、動物園・水族園を支えているんですね。

デスク上には様々な指示が書かれたカンプ(印刷物の仕上がり見本)が並んでいます
グッズの見本には付箋が貼っています。芸が細かい!
動物舎に設置するパネルは、誰にでも見やすいように大きさや位置を工夫します
園内に掲示されている標識のデザイン。毛虫注意のサインなど、動物園ならではの標識も!

「ようこそデザニャーレ」の注目ポイント!

「ショールーム」の壁面

企画展のチラシやポスター、オリジナルグッズの数々が壁いっぱいに飾られています! それぞれのデザインに様々な工夫が詰まっているのだと思うと感動! 本展示では園所属のデザイナーの制作物だけでなく、外部デザイナーの方や職員がデザインしたものも含めて紹介されています。 「OSAMU GOODS」で知られるイラストレーター 原田治デザインの上野動物園バッジや、資生堂パーラーのパッケージなどで知られる仲條正義デザインのショッパー、デザイン界の巨匠たちによる各園のロゴマークなど、過去にデザインされたアイテムも展示。こんなクリエイターも動物園のデザインをしていたんだ!と驚きました。

大迫力の壁面展示! 一つひとつじっくり見ていると、あっという間に時間が経ちます(笑)

サマースクール参加記念バッジ

動物園らしい素敵なデザインのバッジは、サマースクール参加者だけがもらえた記念品。サマースクールは、夏休み中の小学生に飼育作業などを体験してもらう行事で、1949年に上野動物園で始まりました。近年は猛暑により、園ごとに時期や内容を変えて開催するようになりました。

レトロでとってもかわいいバッジの数々!

ステンドグラスで作られた電気スタンド

美しいステンドグラスでできた井の頭自然文化園のゲートは、2009年にデザイン改革の一環として作られました。文化園に入るときのワクワクを感じられる素晴らしいデザインですよね! ゲートと同じく美しいステンドグラスで作られた電気スタンドは、制作してくれたステンドグラス工房からの贈り物だそうです!

動物園・水族園のデザインを検索できる「資料室」やスタンプコーナーも!

注目ポイント以外にも、楽しめる要素が満載のデザニャーレ。「資料室」ブースでは、過去に動物園や水族館で作成されたデザインのアーカイブを閲覧することができます。3園のデザイナーが語る特別ムービーも見応えがありますよ! 会場出口には、過去のイベントで使用されたスタンプが設置されているコーナーも。ぜひ展示の記念におしてみてくださいね。

生きものの魅力をよりわかりやすく、より楽しく伝えたいというスタッフの想いが詰まった「ようこそデザニャーレ」展。動物好きの方はもちろん、デザインやアートが好きな方にもおすすめです!

会場入り口でもらえるリーフレットにスタンプが押せます! スタンプは会期中にランダムで入れ替わります
生きものの生態を教えるための教材は園内職員の作! とてもよくできています!
チラシから生きものたちが飛び出した! チラシに描かれた生きものが切り抜かれて展示されています。表現のバリエーションの豊かさに気づけます

4園連携特設展示「ようこそデザニャーレ-東京どうぶつえん すいぞくえんデザイン室-」

動物園・水族園のデザインの面白さや工夫を、デザインの重要性にもふれながら紹介している特設展示です。

  • 開催日
    2024年3月31日(日)〜9月1日(日) ※月曜休園 (5月4日、17日は無料開園日)
    時間
    9:30~16:30 (5月3日〜5日は9:30~18:00)
  • 料金など
    入園料:一般:400円、65歳以上:200円、中学生:150円 ※小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料 会場:動物園(本園)資料館1階
    会場

    井の頭自然文化園

    〒180-0005 武蔵野市御殿山1-17-6

    JR中央線・総武線、京王井の頭線、各線の「吉祥寺駅」南口(公園口)から徒歩約10分

  • 主催
    [主催]都立動物園水族園 [協力]展示アドバイザー 東京都美術館 河野佑美
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