街々書林の今月の旅する1冊

街々書林の今月の旅する1冊

吉祥寺中道通りに位置する「街々書林 Books & Gallery」の店主であり、旅に関する本を執筆してきた「旅行作家」でもある、小柳淳さんによる月イチの連載コラムです。本の世界の「旅」を、どうぞお楽しみください。

シリーズ一覧

「週刊きちじょうじ」と「週刊きちじょうじオンライン」で毎月第1週にお届けしている「街々書林の今月の旅する1冊」。 「街々書林 Books & Gallery」は、旅にまつわる本や雑誌、雑貨を販売しているユニークな書店。吉祥寺中道通りに位置しています。街々書林の店主であり旅に関する本を執筆してきた「旅行作家」でもある、小柳淳さんによる月イチの連載コラム、本の世界の「旅」をどうぞお楽しみください。

図解 伊勢神宮

図解 伊勢神宮
神宮司庁広報室 編・著
小学館
価格:2,000円
発売日:2020年4月15日
ページ数:160ページ
書籍詳細

「今年こそは伊勢神宮へ」と思っている方もいるでしょう。私も長い間「いつかは伊勢神宮へ」と思っていましたが、10年ほど前に実現しました。天照大御神(アマテラスオオミカミ)を祀る伊勢神宮の正式名称は「神宮」。日本の総氏神というだけあります。内宮と外宮の正宮、それに別宮、摂社、末社、所管社を加えた伊勢地域にある125のお宮の総称が神宮となります。

五十鈴川、アマテラスが鎮座したのはこの上流(撮影=小柳淳)

この『図解 伊勢神宮』は神宮の事務部門である神宮司庁が著者。つまり伊勢神宮が作った本なので、内容は広く深く濃く分かりやすいものです。目次を見ると、自然、歴史、お祭り、神宮と神都、文化と伝統、基礎知識と幅広いテーマが並びます。最初が自然というのも神道だからでしょうか。美しい写真と図で伊勢の春夏秋冬や神宮の宮域林の木々と水の循環などが説明されます。

実は天照大御神は、もともと大和朝廷の崇神天皇のころまでは大和の皇居に祀られていたといいます。その後、ここ伊勢の地に鎮座するまで数十年にわたり各地を巡る旅をする倭姫命(やまとひめのみこと)の物語も収められています。さらに、神宮を支えてきた地域の人びとや制度、お供えするお米、塩、アワビや干鯛などの伊勢の恵み、土器の説明も充実しています。そして20年に一度の式年遷宮をはじめとする多くのお祭り。A4の大判の本に多数の写真が掲載されており、ゆっくりページを進めながら伊勢神宮に思いを馳せることができます。

伊勢二見浦(ふたみがうら)。この「美味国」にアマテラスが神託により鎮座した(撮影=小柳淳)