きち散歩

きち散歩

吉祥寺のおいしいものと散歩が大好きなわたなべえりさんによるコラムです。えりさんのすてきなイラストと共にお楽しみください。

シリーズ一覧

プレスキル ショコラトリーさん

プレスキルショコラトリーの箱、今回の記事の内容をまとめたイラスト入りのノートが写っている。

チョコレートは幸せの味。

チョコレート、お好きですか? 私はチョコレート、甘すぎるのはあんまり得意ではないけれどとっても好きです。普段はカカオ分が多いものを好んで食べているのだけれど、毎年2月はバレンタインをいいことにいろんなショコラトリーのちょっと良いチョコを買っては食べをしています。職人技を味わうのが楽しくて、あれやこれやと食べているのですが、その中でも武蔵野八幡に程近い「プレスキル ショコラトリー」さんのボンボンショコラは私の中でナンバーワン。サロンデュショコラに出展されていたり関西の百貨店の催事に出られていたりと、全国的にも有名なショコラトリーさんです。

駅から10分くらい、武蔵野八幡の交差点を駅を背にして左に曲がって数ブロック歩くと見えてくる石のうさぎちゃんが目印。外壁にはお店のロゴにもなっている鋤(すき)が飾られていて、初めて見た時はちょっとびっくり。鋤って思ったより大きい。
おしゃれな外装に大きな窓とガラス張りのドアから見えるショーケースにどきどきしながらお店の中に入ると、まずはタブレットショコラと焼き菓子がお出迎え。ビーントゥバーのタブレットショコラはいろんな産地のものがあります。産地によって味わいも香りも全然違って本当に面白い!
そして、今回のお目当てのボンボンショコラのショーケースへ。ボンボンショコラの中が層になっていて香りと味わいが変わるという構成で作られたマリアージュショコラ、現存する日本最古のワイナリーまるき葡萄酒のワインを使用したボンボンショコラ・ラフィーユなどがきれいに並んでいます。今回はたくさん迷って、お試しショコラ、スヴニール2025というボンボンショコラの詰め合わせ、カカオパルプ(カカオの果肉)のメレンゲを購入。

まずはお試しショコラからいただきます。お試しショコラは2種類が入っていて、今日はトンカ×キャラメルと柚子×ピーナッツ。
トンカ×キャラメルは表面が想像しているよりもはるかに薄くて、でも簡単に融けるのではなく、口の中でぱりんと割れると中からキャラメルがとろりと溢れ出します。そしてトンカ豆特有の甘い香り。このショコラは知っている「キャラメル入りのチョコレート」をとっても上品に繊細に作るとこうなるのか!という、どちらかといえば既知の味わいです。
対して、柚子×ピーナッツは、例えるならば懐石料理のようないい和食を食べた時の感覚。知っているもの同士を掛け合わせているはずなのに、全く知らない香りと味がするのです。ここの最初の香りは柚子だな、とか終わりの味わいはピーナッツだな、などはわかるのに、不思議なくらい口に入れてから飲み込むまでに味と香りが変化します。

そしてもうひとつ、カカオパルプのメレンゲ。ライチのような、という言葉に惹かれて買ってみたのですがこれがとっても甘酸っぱくてフルーティーなメレンゲ! 軽くてさくさくで雪のようにすぐ消えてしまうのに、華やかな香りと味がしっかり残ります。とっても不思議。

プレスキルショコラトリーの外装、トンカまめとキャラメルのボンボンショコラ、柚子とピーナッツのボンボンショコラ、カカオパルプのメレンゲが描かれたイラスト。

ひとくちで楽しむ台湾の香り旅。

そしてお待ちかね、スヴニール2025。
まず箱がとっても可愛い! ボンボンショコラの箱は詰め合わせによって箱の色や箔押しのデザインが違うのですが、これは濃いカフェモカのような茶色に唐草模様のような金箔押しが施されています。開けるとまずふわっと不思議な香りが。四角いボンボンショコラが4つと、カカオの形をしたボンボンショコラが1つ並べられています。
それぞれ鉄観音茶、シークワーサ×台湾バニラ、凍頂烏龍茶、パイナップル×アニス、グァバ×月桃。どれも台湾の素材がぎゅっとひとくちのチョコに詰め込まれているようです。
全部を一度に食べてしまうのはあまりにも勿体無い、ので今日はシークワーサ×台湾バニラとグァバ×月桃をいただきます。

シークワーサ×台湾バニラは台湾バニラの甘い甘い香りが最初にぽんっと現れた後、その甘いままにシークワーサの独特の酸っぱい爽やかな香りが追いかけてきます。最後の後味はシークワーサなのだけど、「甘酸っぱい」というよりは「爽やかな甘さ」のように感じられて、想像していた柑橘類を使ったチョコレートとはかなり違う印象です。

グァバ×月桃はグァバのジュレが口中に広がったと思ったらスパイシーな月桃の香りが追いかけていってそのまま消えました。口の中であっという間にいろんなことが起きて一瞬で去っていく、ボンボンショコラに対して使うのが適当かはわからないけれど嵐のような味。何が起きたかもう一度味わいたいからもうひとつ食べたい。器になるコーティングのチョコレート、ジュレ、中のショコラの全てが個々に仕事をして、でも全体はまとまっている、本当に素敵なショコラでした。

自分へのご褒美に、誰かへのプレゼントに。自分を含めた誰かのためにちょっと歩いてプレゼントを買いに行く、そんなお散歩も素敵です。プレスキル ショコラトリーさんまでのお散歩、いかがですか?

プレスキルショコラトリーのボンボンショコラのセットであるスヴニール2025の箱、中のボンボンショコラが描かれたイラスト。下部にはワインのショコラが気になっているオオカミのキャラクターとおすすめ3ポイントが描かれている。