前進座 舞台のいろは

前進座 舞台のいろは「配役発表」
1931年に創立した前進座は、東京都武蔵野市を本拠とする日本の歌舞伎も上演する劇団です。
歴史ある劇団から舞台の裏側を学べるコラム「前進座 舞台のいろは」では、舞台まわりの小道具の紹介や知られざる役者さんのあれこれをご紹介します。

「配役発表」
役者にとって緊張の瞬間だ。廊下の壁面に巻紙が貼りだされる。自分の名前を探す。見つけた! 役名に「でんしんばしら」。んん? 「でんしんばしら」? 続いて「どんぐり」?? そう、芝居とは人間役ばかりではないのだ。もぐら役だってあるし、地蔵役だってある。世の中目にするものはなんだって物語の登場人?物なのだ。
台詞は一言もないのに、登場したら主役を食うぐらいの大の人気者なんて役もあった。パンダ役だ。

昔は上野動物園でしか飼育されていなかったから、北海道から沖縄の子供達が舞台にパンダが飛び出してきたら、会場がひっくり返る位の大騒ぎ。精巧にできたこのパンダはどの衣装よりも高価。だが汗だく。歌舞伎ではトンボ手当というものがあるが、この時初めてパンダ手当なるものが発行されたのもいい思い出である。
女優 江林智施
