「石原京子展-ミニアチュール✙ vol.5-」手漉き紙に染め紙。素材の良さはこう活かされる。

本日3月11日よりリベストギャラリー創で「石原京子展-ミニアチュール✙ vol.5-」が開催されています。小さなサイズのミニアチュール(細密画)から大きな絵画まで、たくさんの作品が展示されていました。

石原京子さんは神奈川県の横浜出身。武蔵野美術大学を卒業後、雑誌や広告のイラストレーターを経て、現在は画家として長野県で日々絵を描いています。

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実は、石原さんの作品は紙に特徴があります。一見すると石原さんご自身で彩色されたのかと思ってしまうのですが、この色は紙にもともとついていた色なんだそうです。石原さんはこの色模様を活かして作品作りをしています。

例えばこちらの「セッション」という作品。石原さんは左側の灰色の模様に顔を当てはめ、そこから腕までのラインを描いています。この絵のほとんどは黒いガッシュ(顔料がたくさん入った不透明水彩絵の具)で描かれているのですが、紙の模様も活かされ、躍動感や臨場感が感じられます。

今回の展示で、私の中で印象に残っているのは、この「無伴奏チェロ組曲」という作品です。インタビュー前にこの作品を見て「色使いが特徴的だな」と感じていたのですが、これが紙にもともとあった色だということを知り大変驚きました。人の顔やチェロには茶色が、人の背景は薄緑のような色に染まっていて、全く違和感がありません。むしろこの色使いこそが石原さんが描く「個性」なのだなと強く感じました。

石原さんの個性が光る作品はこれだけではありません。こちらの「桟橋のある風景」や「星ふる夜」といった作品をひと目見ればその独特な質感に気づくでしょう。この絵に使われている紙は石原さんの手作りの紙。和紙の原料である「こうぞ」を使い、漉くのではなく叩いて整形した紙には独特のうねりがあります。カラフルな色使いでグラデーションがつけられた風景には先程とは違った空間の広がりを感じますね。

中でもこちらの「鳥たちの憩う木」という作品は、石原さん手作りの紙が持つ質感が樹皮のイメージと重なり、空に伸びる木の勢いを感じます。彩色は抑えめにすることで紙のうねりが際立っており、「こういう表現の仕方もあるのだな」と勉強になりました。

ミニアチュールの作品たちもそれぞれに個性があります。こちらの作品には、先程の演奏家の絵で使われている紙の切れ端が使われいることも。色彩が豊かなもの、落ち着いて雰囲気がある絵、可愛らしい動物の演奏家など、様々な種類があって観る人の目を楽しませてくれます。サイズにあわせて値段分けされており、こんな素敵な作品が小さいものなら5,000円から購入できるというのは驚きです。

いかがでしたか?手漉き紙や染め紙の模様を生かした石原さんの作品群は、素朴で落ち着いた雰囲気に包まれたものから鮮やかで広がりのあるものまで、それぞれに個性を感じ取れるものでした。中でも手漉き紙の模様を活かした作品はぜひ近くで見てみてほしいです!この作品展は来週の3月16日(水)まで。ぜひリベストギャラリー創で石原さんの個性を堪能してみてくださいね。