パフェと店内に楽しませる工夫がいっぱい!フルーツ専門店「果実店canvas(カンヴァス)」

突然ですが、パフェはお好きですか? パフェって夢が詰まっていますよね…! 最近ではさまざまなパフェ専門店ができ、趣向を凝らした魅力的なパフェが人気です。五日市街道沿いに位置する「果実店canvas」は大人も子どもも楽しめる、フルーツをふんだんに使ったパフェが堪能できるお店。パフェだけでなく、フルーツサンドや季節の果物も取り扱っており、“果実店”の名前のとおりフルーツを思いっきり楽しむことができるんです! 今回、果実店canvasの店主である佐藤さんにお話をうかがいました。パフェだけでなくお店にもつまったお客さんを楽しませる工夫とは? 特集記事でお届けします!

「絵の中の椅子」に「デザートと向き合う椅子」?! 果実店canvasの店内に込められたストーリー

吉祥寺駅から徒歩22分、五日市通りと扶桑通りが交差する場所に果実店canvasはあります。canvasの名前のとおり、真っ白いキャンバスのような佇まいが魅力的。店頭の看板には「フルーツパーラー」や「幸せのフルーツサンド」などの文字が並び、思わずワクワクしてしまいます。

店内に入ると、存在感たっぷりの木のオブジェが目に飛び込んできます。こんなお店は初体験! 外観と同じく店内も白を基調としており、木のオブジェと相まっておしゃれなギャラリーにいるような気分を味わえます。キッチンを囲む曲線の壁もとっても素敵です!

店内を入って右側の席からの光景。アート系ギャラリーの雰囲気すら漂います
お店に入ると、新鮮なフルーツが並ぶショーケースがお出迎え。“果実店”の名前は伊達じゃありません!

「お店に入ったらまず好きな席を選んでもらうんですよ」と教えてくれた佐藤さん。さっそく店内案内図を見てみます。

まるで絵本の世界に入り込んだかのような名前の席が全部で11種類! 「絵の中の椅子」や「デザートと向き合う椅子」、「クラウンメロンの椅子」、「根の下のバタフライテーブルの椅子」など、名前を見ているだけでうっとりしてしまうような席が用意されています。どれにしようかな…と、席を選ぶ時間も魅力的ですよね。今回はパフェが美しく見えそうな「白い背景の椅子」を選んでみました!

店内入り口に用意された席の表。席の種類は11種類、席数は13席です

好きな場所が決まったら、その席に対応した呼び出し用の受信機を手に持って席に着きます。注文方法は受信機に貼られた二次元バーコードをスマホで読み取り注文する、モバイルオーダー形式。席を選んで注文する行為がワクワクする体験になっていることに感動です! ユニークな席の名前を付けられた理由や、素敵な内装についてお聞きしてみました。
「お店の内容はこうしよう、とコンセプトを決めていうより、つくりながら考えました。自分の中にいろいろな引き出しがあるんですが、アイデアがパチッと合う瞬間があるんです。あとcanvasがあるこの場所がよかったというのもありますね。この建物だからつくれた店舗です」と語ります。

canvasが入っている建物はいわゆる“長屋”。ひとつの建物の中に複数の家屋が入っており、canvasのお隣には週きちで以前取り上げたアンティークショップの「fog」が並んでいます。この長屋はcanvas店主の佐藤さん含め、5軒のお店の店主で「吉祥寺長屋」と命名。吉祥寺長屋で「わざわざマーケット」なるイベントも開催されています。

インタビューに答えてくれた店主の佐藤さん

ユニークな席の名前について聞いてみると、佐藤さんのお店づくりの秘密が垣間見えるような瞬間がありました。
「あえて一度でわからないようにしたいんですよね。例えば、“絵の中の椅子”は大きな窓のある席で、外から見ると額に入った1枚の絵に見える。お客さんが座って絵が完成するイメージで“絵の中の椅子”と名付けました。席の名前の理由は一つひとつありますが、あえて説明しない。お客さんがはじめて来たときは席の名前の理由がわからなくても、再び来たときに気づくかもしれない。また来てもおもしろい。そんなお店になれば楽しいかなって。もちろん聞かれれば答えますけどね(笑)」と教えてくれました。
たしかに、自分で発見する喜びってありますもんね! 果実店canvasには一度だけじゃなく、何度も通ってみたくなる工夫が満載です。その工夫はメニュー表の中にも隠されていました。

待ち時間を楽しみの時間に。“0円メニュー”のラインナップ

注文を選んでいると何やら「デザートが来るまで」という欄が目に入りました。値段をみるとなんと0円! メニューに書かれた0円の表記にびっくりしてしまいました。
canvasでは注文ごとに一つひとつ丁寧に作っているため、待ち時間がかかることもあります。提供までの時間も楽しんでもらえるように「デザートが来るまで」メニューが作られているとのこと。とっても素敵な試みですよね! 「デザートを待つ間秘密のテラスにいる」、「隣のアンティーク雑貨fogに遊びに行く」、「果物の段ボールで絵を描く」など楽しいラインナップが並んでいます。さっそくお目当てのパフェを注文して、0円メニューを体験してみました。

「クラウンメロンの部屋」のカウンターの奥を進むと…

テラスへとつづく階段が見えてきます。

ジャーン! 「デザートを待つ間秘密のテラスにいる」を頼んでみました。取材した日は青空が気持ちのよい日だったので、秘密のテラスは最高のロケーションでした。
次来たときは「隣のアンティーク雑貨fogに遊びに行く」もいいな〜、「果物の段ボールで絵を描く」もやってみたいな〜とcanvasのお客さんを楽しませる工夫にすっかりノックアウト! 何度でも来たくなる理由がだんだんわかってきました。おっと、そろそろ注文したパフェが来るころです。

パフェに込められたストーリー。マンゴーやパイナップルを使った「宮崎・鹿児島・沖縄で育った果物と郷土のパフェ」を食べてみた!

今回頼んだパフェは「宮崎・鹿児島・沖縄で育った果物と郷土のパフェ」! 今年2024年夏の新作です。さてさて、どんなパフェが来るのでしょうか…。いよいよパフェとご対面!

「宮崎・鹿児島・沖縄で育った果物と郷土のパフェ」。語彙力を失う美しさ!

う、うつくしい…。とにかくフルーツがうつくしい!! 綺麗にカッティングされたマンゴーをひと口ほおばると、ジューシーな果汁が口の中にひろがります。パインは果肉がしっかりしており濃厚な甘み。沖縄県産のアップルパインで「ゴールドバレル」とよばれる品種を使用しているそう。パインの中でも栽培が難しく、市場でもなかなかお目にかかることが少ない品種なんだそうです。果物って甘くておいしい…と思わず語彙力を失うほどのインパクト(笑)。
さらに食べ進めていくと、不思議な食感のアイスが。ココナッツアイスにパパイヤの醤油漬けが入ったジェラートです! 衝撃を受けました…。ほんのり甘じょっぱいパパイヤがいいアクセントになり、みたらしのような風味があります。サクサクした食感が楽しいちんすこうや、シャリシャリしてさっぱり感のある大葉のグラニテ(シャーベット状の氷菓)など、さまざまな食感が現れます。
極めつけはパフェの下に仕込まれたお米状の食材。なんと道明寺1のココナッツミルク煮! 道明寺をココナッツミルクで煮るとは驚きです。パフェの概念をまるっきり変えられるような体験が味わえました。パッションフルーツのプチプチした食感やバナナのねっとりした食感も素晴らしく、あっという間に完食! 夢のようなパフェを堪能できました!

  1. もち米を主原料とした和菓子などによく使用される粒状の食材 ↩︎
「宮崎・鹿児島・沖縄で育った果物と郷土のパフェ」には11種もの食材が! フルコースを味わったかのような充実感です(画像=果実店canvasインスタグラムより)

こんなにすごいパフェ、どうやって思いつくのだろう…。佐藤さんにお話を聞くと、「宮崎・鹿児島・沖縄で育った果物と郷土のパフェ」はパフェづくりを目指してcanvasに入ったスタッフ、奈那子さんがつくったデビュー作のパフェだそうです!
「スタッフの奈那子さんの実家は鹿児島にあります。鹿児島に加えて宮崎や沖縄の果物も使ったパフェはできないか考えてもらいました。沖縄や鹿児島の郷土料理はなんだろう?どんなストーリーが描けるだろう?というところから決めていくんです」と佐藤さんは語ります。
さまざまな食感の食材と、それを支える果物の存在感。それぞれの土地で採れた果実と工夫を凝らした食材が織りなすハーモニーは、まさに「宮崎・鹿児島・沖縄で育った果物と郷土のパフェ」のストーリーを感じさせるものでした。

果実店canvasの名前のとおり、果物へのこだわりにも妥協はありません。佐藤さんは日本最大規模の青果市場「大田市場」に毎週出向き、自らの目利きで果物を仕入れるそうです。
「パフェ店が毎週青果市場へ出向いて仕入れをやる、なんてことはほかではあまり聞かないですよね。やりたくてもなかなかできることじゃないと思います。でもほかの人がやっていないからこそ、やってみたい。それがおもしろいと思っています」と話してくれました。

佐藤さんの“楽しく、おもしろく”仕事をする姿勢が、果実店canvasをより魅力的な場所にしているのだと感じるエピソードです。店内に詰まった工夫、パフェに込められたストーリーと、まだまだ果実店canvasには秘密がありそうです。キッチンの写真を撮らせてもらっていると、最後にキッチンに込められた秘密を教えてもらうことができました。
「お店に入ってすぐに見えるのがこのキッチンです。ラップや細々した道具がお客さんからは見えないように特別な棚になっているんです。内装を担当してくれた建築家さんは“ラボ(実験室)”をイメージしたと言っていました。冷蔵庫はあえて中身が見えるように、ワインセラーを使っています。今までいくつもインタビューを受けてきましたが、キッチンの工夫に気付いてくれた人はいなかったので嬉しいです」と笑いながら話されていました。

フルーツサンドや店内に設置された“画廊”など、まだまだ紹介しきれていない魅力がたくさんの果実店canvas。パフェのメニューは季節ごとに変わるそうなので、毎回新しい味を楽しみにお店に通いたくなっちゃいます! 果実店canvasにたくさん散りばめられたワクワクを見つけてみてくださいね。