良質なジャズと料理が奏でる日々。吉祥寺SOMETIME(サムタイム)の魅力に迫る

吉祥寺の老舗ジャズライブハウス「SOMETIME(サムタイム)」。上質なジャズと美味しい料理、お酒をリーズナブルに楽しめるお店です。平日は毎晩、土日祝日は昼間もジャズのライブが演奏されています。今回はサムタイムの歴史とともに、日々行われているライブについて店長の宇根さんにお話をうかがいました。

「ジャズって敷居が高そう…」「ひとりで行くのはちょっと勇気がいる…」そんなふうに感じている方にこそおすすめしたいのがサムタイム。気軽に訪れて上質な音楽と食事を楽しめる、その魅力をたっぷりお届けします!

吉祥寺サムタイムの誕生は1975年。サムタイム過渡期のエピソード

吉祥寺サムタイムは吉祥寺サンロードとペニーレーンが接するあたりに位置する地下のお店。レンガ造りの入口と看板は、店内に足を踏み入れる前からサムタイムの独特な世界観を感じさせます。夜になると周囲の照明と相まって
とっても素敵な雰囲気です! 「店内の内装は創業当時から変わっていないんですよ」と笑顔で話すのは、30年以上サムタイムの店長を務める宇根さんです。

店長の宇根さん。とても気さくにお話ししてくださいました!

サムタイムの創業は1975年。創業者の野口伊織1さんはサムタイムのほかにもジャズ喫茶「Funky」をはじめ、「レモンドロップ」や「OUTBACK(アウトバック)」など、数多くのお店を手掛けた人物です。
宇根さんは最初、アルバイトとしてサムタイムで働いていましたが、先代店長の退職を機に1990年頃から店長を務めるようになりました。

「いつから店長になったのか、正確には覚えてないんですよね」と笑う宇根さん。当時の苦労話をうかがうと、次のように話してくれました。

「創業当時のサムタイムは、ジャズを真剣に聴く場所というより、カジュアルに食事とジャズを楽しめるお店というコンセプトだったんです。ですので、演奏中も店内がざわざわしていることが普通でした。今のように音楽をしっかり聴いてもらうスタイルに変えるのは本当に大変でしたね。どんなに丁寧に説明しても、お客さんにお願いする形になってしまうので。」

現在のスタイルが定着してから、少なくとも30年以上は経っているという宇根さん。現在、サムタイムで演奏されるジャズは初めて訪れるお客さんにも親しみやすい曲を中心に演奏されています。このような日々の積み重ねが、今のサムタイムの魅力を形作っているんですね。

  1. 野口伊織:1942年、東京生まれ。1966年にジャズ喫茶「Funky」をプロデュースしたのを皮切りに、吉祥寺を中心にさまざまなジャンルの店舗を30軒以上手がけた。2001年、脳腫瘍のため58歳で逝去。 ↩︎

ライブを毎日行えるのは、ミュージシャンとの信頼関係があるからこそ

先に述べたように、毎日ジャズのライブが行われているサムタイム。平日夜は19:00からと20:30からの2セット、土日祝日はお昼の13:00からと14:30からの2セット行われています。この驚異的なライブの回数はどのようにして実現しているのでしょうか?

「やっぱり、これだけの年数をやっているとミュージシャンとの信頼関係がありますよね。例えば月に1回出るグループ、2ヶ月に1回出るグループなど、それぞれのスケジュールがあるわけです。そういったグループがたくさんいるので、スケジュールが埋まらないことはほとんどありません(笑)。こちらからオファーをかける間もなく連絡が来るので(笑)、それを調整しながらスケジュールを組んでいます。もちろん、イベントなどで自分で呼びたい方にオファーをかけるときもありますけどね。サムタイムに出たいというミュージシャンがたくさんいる。ありがたいことですよね。」

お店の中央にあるピアノ。存在感たっぷりです!

続けて、宇根さんはサムタイムで演奏したいミュージシャンが絶えない理由を教えてくれました。

「サムタイムがふらっと立ち寄れる価格帯のお店であることが大きいと思います。都内でもサムタイムのミュージックチャージはとても安いんです。そこは何とか頑張っています(笑)。あとは、ジャズファンだけが集まるお店にしないこと。サムタイムそのものに行きたいと思ってもらえる雰囲気づくりを心がけています。どんなライブかはわからなくても、サムタイムに行きたいというお客さんがいらっしゃる。そうすると、ミュージシャンは集客に力を入れなくてもいいんですよ(笑)。やっぱり、ミュージシャンにとっては多くのお客さんに聴いてもらえるのが嬉しいですよね。」

お客さんにとっては、サムタイムに行けば気軽に上質なジャズを楽しめる安心感があり、ミュージシャンにとってはたくさんのお客さんに演奏を聴いてもらえる環境がある。ミュージシャンとお客さんとの関係を大切に積み重ねてきた、サムタイムならではのエピソードです。

「ちゃんと美味しい」メニューづくりを。サムタイムのカレーを食べてみたよ!

創業当初から一貫しているのは、食事が楽しめるジャズライブハウスということ。ランチメニューも創業当初からあるそうです。宇根さんにメニューへのこだわりについて聞いてみると、「特にこれといったこだわりはないんですが、ちゃんと料理が美味しいというのは心がけています。平日なんかは仕事終わりに来る方もいらっしゃるので、夕食として楽しんでもらえるメニューも揃えています。それと、毎シーズンごとに季節感を感じてもらえるようなメニュー作りも工夫していますよ」と教えてくれました。

ということで、お昼も夜も出しているというカレーを頼んでみました!

季節野菜のカレー(お昼はサラダ・コーヒー or 紅茶付き)

お昼はワンプレートにサラダとカレーが盛り付けられています。コーヒーか紅茶もセットで付いてくるので、ランチするのもおすすめです。 鶏ひき肉の優しい味わいのカレーで、揚げたナスとじゃがいもがアクセントになっていてとっても美味しかったですよ!

今回は「季節野菜のカレー」のほかに「煮込みハンバーグ」、「温玉アボカド ネギトロ丼」、「本日のパスタ」の4つのランチメニューがありました。まずはランチからサムタイムデビューしてみるのもいいかもしれません!

2025年に50周年を迎えるサムタイム。日々の積み重ねがサムタイムを作ってきた

サムタイムは2025年に創業から50周年を迎えます。今後の目標についてうかがいました。

「これから50周年ということで、頑張っていきたいのはもちろんなんですが、今はおかげさまでインバウンドのお客さんがとても多いんです。海外から来たお客さまのSNSの力も大きいと思います。それに加えてジャズという点では、東京に行ったら『吉祥寺のサムタイムに行け』という話が海外であるらしいんです! 私たちが特に何かをしなくても、自然と盛り上がってもらっています」と宇根さん。

ほかにもゲームの舞台になっているらしく、それを目的にファンの方が訪れたりとさまざまな理由でサムタイムにお客さんがいらっしゃるそう。予想しなかった広がりを、宇根さん自身もとても楽しんでいる様子でした。

「だからこそ、かっこいい言い方をすれば毎日丁寧に営業していかなきゃなと思います。何がきっかけになるかわからないですもんね。ぶっちゃけた言い方をすれば、油断できない(笑)」と宇根さんは笑いながら話します。

宇根さんの気さくで分け隔てない人柄と、長い間ミュージシャンと育んできた歴史。サムタイムの魅力にすっかりやられてしまいました! レンガの入り口を思い切って入ってみたら、サムタイムでしか味わえないジャズと美味しい食事があなたを待っていますよ。

吉祥寺SOMETIME(サムタイム)

サムタイムは、1975年創業の上質なジャズと料理、お酒がリーズナブルに楽しめるお店。

  • 営業時間
    ランチタイム 12:00~17:00(ラストオーダー 16:00) リキュールタイム 18:00〜22:00 ライブタイム 夜の部(平日) 18:00〜22:00 1st:19:00~20:00 2nd:20:30~21:30 昼の部(土日祝)12:00〜16:00 1st:13:00~14:00 2nd:14:30~15:30
    定休日
    年中無休(年始を省く)
  • 電話
    住所

    〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11−31 B1F

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