街々書林の今月の旅する1冊

吉祥寺中道通りに位置する「街々書林 Books & Gallery」の店主であり、旅に関する本を執筆してきた「旅行作家」でもある、小柳淳さんによる月イチの連載コラムです。本の世界の「旅」を、どうぞお楽しみください。
暮らしの図鑑 タイの毎日 〜街々書林の今月の旅する1冊
「週刊きちじょうじ」と「週刊きちじょうじオンライン」で毎月第1週にお届けしている「街々書林の今月の旅する1冊」。 「街々書林 Books & Gallery」は、旅にまつわる本や雑誌、雑貨を販売しているユニークな書店。吉祥寺中道通りに位置しています。街々書林の店主であり旅に関する本を執筆してきた「旅行作家」でもある、小柳淳さんによる月イチの連載コラム、本の世界の「旅」をどうぞお楽しみください。

暮らしの図鑑 タイの毎日

暮らしの図鑑 タイの毎日
ぷくこ 著
翔泳社
1,980円
発売日:2023年7月10日
ページ数:208ページ
書籍詳細
「マイペンライ」はタイ語で、大丈夫、何とかなるさというような意味だそうです。この言葉がタイの暮らしや文化を表しているとのことで、この本はマイペンライを軸にまとめられています。サブタイトルが「笑顔でのんびり過ごすヒント47×基礎知識×タイカルチャー」となっているとおり、穏やかなタイの暮らしのシーンを網羅します。市場、路上、子ども、食べ物、仏教、国王など、暮らしの話題が美しい写真とともに説明されます。中ほどでは地理、歴史、気候、交通、行事など、タイの基礎知識をきちんと押さえます。といっても難しさはなく、軽やかにまとまっていて楽しく読めてしまいます。

歴史の項では初のタイ統一王朝であるスコータイ王朝から16世紀にはじまり現在に至るラッタナコーシン(チャックリー)王朝までの変遷が説明されます。また、国土が広く地域性が多彩なタイらしく、地域ごとの特色を簡単にまとめてあるのも親切なつくり。日本への好感度を持つ人が多いタイですが、社会に浸透している日本語の項はちょっとおかしく可愛らしく感じもします。そして締めは、タイ・カルチャーを映画やドラマ、タイ各地の雑貨、美容、建築などで表現。どのページを開いてもカラフルな写真があふれて、楽しく読めます。タイの社会と暮らしのいろいろを優しく語ってくれるかわいい読み物です。
