きち散歩

きち散歩

吉祥寺のおいしいものと散歩が大好きなわたなべえりさんによるコラムです。えりさんのすてきなイラストと共にお楽しみください。

シリーズ一覧

きち散歩(10)武蔵野デーリー クラフトミルクスタンドさん

武蔵野デーリー CRAFT MILK STAND(クラフトミルクスタンド)

今回の記事の内容をまとめたイラスト入りのノートと武蔵野デーリーのミルク。

老舗のミルク屋さんの新しい形。

美味しい牛乳が飲みたい!
牛乳が好きで、小さい時からよく飲んでいて、大人になってからも牧場に行くことが好きでそこの地域の牛乳を飲むのが密かな幸せ。普段の牛乳ももちろん大好きで、たくさん酪農家さんや牛さんが頑張ってくれた素敵な飲み物だ、と思っているけれど、牧場で飲める牛乳はちょっと味が違って面白い。
牧場に行く予定も行ける見込みも立たないけど、美味しい牛乳でちょっと元気を貰いたい、そんな時に訪ねたいのがが武蔵野デーリーさんです。

こちらで扱われているのは「クラフトミルク」。最近はクラフトビールだったりクラフトコーラだったり、「クラフト」という言葉をいろんなところで見かけるのだけれど、工芸品のようにひとつひとつの小さな作り手さんがこだわりと個性を持って作っているという意味では同じイメージ。いろんな特色があって、それぞれ素敵な取り組みをされている牧場さんごとの単体のミルクをお出ししてくれているのが、こちらなのです。

吉祥寺駅から井の頭通りを三鷹方面へ5分ほど歩くと見えてくる、バス停のような丸い看板がお店の目印。ちょうど吉祥寺駅からだと最初に見えるのが自動販売機の裏なのだけれど、平日は普通の民家。壁の一部が真っ白で、ミルクを一滴落とした時に綺麗に王冠のように跳ねる、ミルククラウンのマークがあるばかり。営業している土日にはここが開いてタイルがおしゃれなミルクスタンドになります。平日のスタンドが開いていない時も、お店の前にある自動販売機でクラフトミルクを扱っているのですが、人気で売り切れてしまっていることもしばしば。会えたら嬉しい存在です。

武蔵野デーリーさんの外装のイラスト、外に設置されている自動販売機と自動販売機で販売されているクラフトミルクの石垣島ジャージー牛乳飲むヨーグルトのイラスト。

牧場の風景と香りが届くミルク。

武蔵野デーリーさんでは月やタイミングごとに違う牛乳を出しています。
今回イラストを描くぞ!とうかがったのが7月の終わりくらいだったので、いただいたのは7月の3種類飲み比べ。「夏の放牧ミルク」とサブタイトルがついていました。夏になるにつれてさらっと、冬にかけて濃くなるのが牛乳の特徴ですが、それはクラフトミルクも一緒。水をたくさん飲んで育った牛の、さらりとした飲みやすい牛乳を楽しめます。でも、さらりと言っても思い描く低脂肪乳などのさらり感とは全然違うさらり! 味がギュッと詰まっていて、どれもなんだかとってもいい香りがします。

今回の3種類は千葉県野田市の「知久牧場」さん、北海道清水町の「宮地牧場」さん、そして東京都「八丈島」のゆーゆー牧場さん。
牛たちがそれぞれの土地の草を食べていて、味わいが全然違うのです。山麓の広々としたところで放牧していたり、江戸川河川敷で草を育てていたり、明日葉をもぐもぐ食べていたり。同じ品種の牛さんでも食べるものや住むところで味も香りも全く別物になっていて、とっても面白い!

まずは千葉県野田市・知久牧場さんの「せきやどミルク」。The 牧場の牛乳! バランスが良く濃くて、味にクセがあまりなくてクラフトミルク初心者におすすめかも。普段飲んでいる牛乳の延長線上にいる、とても素敵で素直なミルク。
そして次に北海道清水町・宮地牧場さんの「グラスドロップミルク」。飲んだ瞬間はサラッとしていて、あれ、飲み慣れているものに近い?と思ったや否や乳と草の風味が一気に追いかけてきて濃く感じる、新しい体験。後味がほんのり芳ばしくて、これがとっても不思議でした。
最後に東京都八丈島・ゆーゆー牧場さんの「八丈島ジャージー牛乳」。やや黄味がかった色のとおり、最初から濃くてヨーグルトやソフトクリームを彷彿とさせる味わい。今のこのさらっとしている時期に飲んでもこんなに味わいが素敵ならば、寒い時にホットで飲んだらきっと最高。普通の草の風味だけじゃない感じにこれが明日葉?など、味覚嗅覚がフル稼働するようで楽しめました。

そして、もうひとつ、気になっていた生アイス!
奥能登で放牧をされている寺西牧場さんのミルクとお砂糖だけをその場でアイスにしてくれます。食べる直前に作られたもので、柔らくてミルクの旨みがすごい! さっぱりしているけれど奥にコクがあってまろやか。どんどん溶けてしまうので急いで食べ進めます。
途中で味変に「ミルふり」をかけていただきます。ミルふりは牛乳をぎゅぎゅっと濃縮したパウダーで、今回はいちご味をいただきました。かけると一気にアイスが濃厚になってバターみたいな風味が。そこに甘酸っぱいいちごの風味があわさって、ミルクの爽やかさと濃厚さとがマッチしていていくらでも食べられそうな幸せなお味。

朝8時からやっているのも魅力のひとつ。土日はいつも何か予定があって吉祥寺だけに行くことは少ないのだけれど、一旦寄って牛乳をいただいて、それから予定に向かう、というのもちょっと元気になれちゃいます。Instagramを見るたびに可愛らしい牛さんやその牛さんを育てている土地の写真がアップされていて、こんなところの牛さんのミルクを飲んでみたい!と思うこともしばしば。また次に行くのが楽しみになる、牛乳の楽しさを味わうことができる、そんな武蔵野デーリーさんを訪れてみてはいかがでしょうか?

三種飲み比べセットと生アイスのイラスト。
牛乳が毎月違うため一期一会であることを伝えるオオカミのキャラクターと、おすすめ3ポイントがまとまったイラスト。