「入門動物園」井の頭自然文化園でコロナ禍の取り組みについて聞いてきた
武蔵野の憩いの場、井の頭自然文化園。コロナウイルスの流行にもめげず、オンラインも活用して動物たちの様子を発信しています。しかし、そこには難しさがあるとか。コロナ禍の井の頭自然文化園を取材しました。
井の頭自然文化園は「入門動物園」に最適!
井の頭自然文化園といえばアジアゾウの「はな子」がいたことで有名です。でも実は、井の頭自然文化園は日本産の動物の展示をメインにした動物園なんです。タヌキやキツネ、アナグマといった、日本人や子どもに馴染みのある動物たちが暮らしています。
「井の頭自然文化園は『入門動物園』と呼ばれているんです」。
そうお話してくれたのは井の頭自然文化園で教育普及係として活躍する金原功さん。井の頭自然文化園は小さな子どもが一番最初に来る動物園として、リスやモルモットのような絵本にも出てくる動物たちを間近に見て、親しみを持ってもらう役割を果たしているそうです。
「生き物の魅力」をオンラインで伝える難しさ
そんな井の頭自然文化園もコロナ禍で一時は閉園。現在は再開園しているものの、コロナの影響でイベントが開催できず、困っているといいます。
「コロナ禍の今、『人と人との距離が近くなる』とか『対面で話をする』、『道具を使って動物の解説をする』ということが感染予防のためにできないんです。お客さんと会話をしながら動物の魅力を伝えることができない状態で、そこに頭を悩ませています」。
このコロナ禍でも動物たちに親しみを持ってもらおうと、井の頭自然文化園ではオンラインのイベントを開催しています。しかし、オンラインイベントにも難しさがあるそうです。
「例えば8月1日に開催するカブトムシのイベントは、ウェブ会議ツール『zoom』を使ってオンラインで開催します。でも、本当は子どもたちに来てもらい、実際にカブトムシが集まっているところを見てもらったり、捕まえたり、間近に手にとって観察してもらいたいんです。それをできないのが難しいですね。今回のイベントでは観察の要素を含みつつ、子どもたちが夏休みにカブトムシ探しへ出かけるきっかけとなってほしいと思っています」。
動物に親しみを持ってほしい!
オンラインで動物の魅力を伝える取り組みとして、井の頭自然文化園はSNSでの発信もしています。リスやオシドリの様子など、発信される動画はとても可愛らしく、印象的です。
「リスの飼育担当者がSNSも担当しているのですが、写真や動画を撮るのがとてもうまいんです。そのときどきのリスの行動だったり、特徴だったりを上手に捉えています。去年の夏、リスが夏の暑さをしのぐために水飲みとしておいてあるパットの中にお腹をつけて休んでいた様子や、日陰で平べったくなって休んでいる様子は話題になりました」。
動画の中には、リスに氷漬けのくるみをあげている夏らしくて涼し気なものも。こうしたアイデアは動物たちの熱中症対策や見た目の涼しさだけでなく、生活のアクセントにもなっているそうです。
「環境エンリッチメントというのですが、動物が限られたスペースの中で過ごす1日に変化を与えるため、氷の中から一生懸命くるみを探すのはいいと思っています」。
オンラインでの発信にも取り組み、動物たちに親しみを持ってもらいたいと話してくれた金原さん。
それでもやはり、実際に動物を間近に見てもらいたいという想いがあるそうです。
「今も外出が制限されている中で、井の頭自然文化園もオンラインを通じて色々な情報を発信しています。でもやっぱり、動物園は実際に本物を見て観察するのが一番楽しいし、動物のこともよくわかるじゃないかなと思うんです。ですので、以前のように自由に制限なく来ることができるようになったら、本物の動物を間近でじっくり見に来てもらいたいなと思います」。