男女格差に正面から向き合う現代のオセロー『令和X年のオセロー』が9月3日、吉祥寺シアターで上演

演劇・舞台芸術ときいたら何を思い浮かべますか?
ミュージカルや歌舞伎は定番ですよね。最近ではアニメや漫画、ゲームを原作にした2.5次元舞台などを思い浮かべる人もいるかも知れません。

そんな演劇の中でも世界的に有名なのはシェイクスピアの作品ではないでしょうか。見たことない、読んだことないという人でも名前だけは知っている、超有名な劇作家ですよね。

そんなシェイクスピアが作った作品の中で「四大悲劇」の一つとして挙げられる悲劇『オセロー』を演劇ユニット「戯曲組」がジェンダーギャップの観点から翻案した作品『令和X年のオセロー』が9月3日(土)に吉祥寺シアターで上演されます。

『オセロー』はどんなお話?翻案って?

先にも述べたように、『オセロー』はシェイクスピアが作った「四大悲劇」の一つとして数えられる悲劇のお話です。

原作の主人公はオセローというヴェニスの軍人です。優秀な彼は美しい娘デズデモーナと強い愛によって結ばれていました。しかし、側近のイアーゴーという男の策略でオセローはデズデモーナの貞操に疑念を抱くようになり、ついには嫉妬のあまり妻を殺害してしまいます。のちにすべてイアーゴーの策略だったと知ったオセローは自殺する、というお話です。

今回「戯曲組」が演じる『令和X年のオセロー』はこの作品を翻案したお話となります。翻案というのは物語の大筋・内容にそって人名や地名などを改変したもの。今回の上演では「男女格差」に正面から向き合い、ジェンダーロールからの解放が描かれます。

『令和X年のオセロー』の見どころは?

『令和X年のオセロー』では「ジェンダーロールにとらわれず、⼀⼈ひとり⾃分らしく⽣きること」を演劇にダンスを取り⼊れた⾝体表現を通じて観客に投げかけます。
また女優の有森也実さんがセリフを封じ、バレエで表現する物語のキーになる女性「バーバラ」も見所です。

あらすじ

デズデモーナがトゥシューズ(“⼥性はこうあるべき”と定められた美しさの象徴)を履く。現在の⽇本において、そのような伝統的な美しさに憧れながらも、社会構造によって与えられたジェンダーロールに苦しむ⼥性は多い。この物語では、デズデモーナがトゥシューズを脱ぐ。「 ⼀度その靴を脱いでみませんか?」という提案、「違う⽣き⽅も出来るのではないか」と⾔う可能性を提⽰する。

吉村元希のコメント「⼥性の⽴場から⾒た世界を覗いてみて」

何故私は⽣きて⾏くのが⾟いのだろう、とずっと考えていました。最近になってそれは、私が⼥性だったからなのだと気付かされましたけれど、まだ漠然としていました。私が脚本家、映画監督など、⼥性らしさを求められていないジャンルで仕事をしているからなのだと思っていました。

コロナ禍以降⼥性の⾃殺率が上がっていることに、この⽣きづらさは私の職業特有のものではなく、⼥性全体のことなのだとさらに気付きました。そこに気付くだけでも、多くの⼥性が少し楽になれるのです。男性からは⾒えない⼥性の息苦しさ。まずは男の⾟さを知れ、と切り捨ててしまう前に、ちょっとだけ、この作品で、⼥性の⽴場から⾒た世界を覗いてみてください。

有森也実のコメント 「過去の女達の命を全うできる時を演劇に乗せたい」

風になびくカーテン、雲、行き交うスクランブル交差点の人々、猫のあくび...
日常にダンスを感じるシーンはあふれていると私は感じていますが、日常的な人々の営みと叡智を越えた何かとの繋りをもたらすツールもまた、踊る事なのだと思います。演劇とダンスの融合。私がずっと漠然と夢見た世界を表現するチャンスを元希さんからいただいて、緊張と供に嬉しさでいっぱいで稽古に励んでいます。
今回、私がバレエを通して演じるバーバラという女は過去の女達を内在した役割を持っています。過去は変わらない、だから想いだけは抜け出して今に漂う。現存する女によって浄化される時を待つように。 過去の女達の命を全うできる時を『令和X年のオセロー』に乗せたいと思っています。

戯曲組とは

戯曲組は⼥性俳優や映画監督、脚本家として活躍する吉村元希主宰の演劇ユニットです。
吉村元希さんは坂東玉三郎監督映画「外科室」で脚本家デビューし、「美少女戦士セーラームーンスーパーズ」「デジモンアドベンチャー02」の脚本など主にマスメディアで活動しています。
テキストを読むことによってわき起こる演者の身体反応に注目し、等身大の人間対人間のコミュニケーションや表現について提案する演劇的芸術表現を目指しています。

この作品は吉祥寺シアターでの上映のほか、ライブ配信およびアーカイブ配信も行っています。

令和X年のオセロー

  • 開催日
    2022年9月3日(土)
    時間
    13:00 / 17:00 ※13:00の回は終演後にアフタートークあり。ゲスト:アルテイシア(作家)
  • 料金など
    劇場観劇 5,000円 ライブ配信およびアーカイブ配信 2,500円
    お問い合わせ
    会場

    吉祥寺シアター

    〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1丁目33-22

  • 出演
    作・演出 吉村元希 ポワント振付 有森也実 群舞振付 大園康司 出演 有森也実、⻄本泰輔、白木原一仁、鈴木一希、佐々井隆文、吉村元希、 中山侑子、三木万侑加、清水さと、石井理加、吉田昌美、田中玲 声の出演 渡辺哲
  • 主催
    戯曲組