和漢薬舗 東洋堂稲垣薬局
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- 営業時間
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9:30~19:00
- 定休日
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年中無休(日曜祝日営業 1月1〜4日は休み)
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- 電話
- 住所
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180-0004 武蔵野市吉祥寺本町1-12-4
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連日の猛暑、台風による気圧の変化、季節の変わり目…。みなさんは身体の不調をどのように対処していますか? リフレッシュに好きなことをやる、マッサージに行く、ひたすら寝るなど、人それぞれの対応策があるかと思います。病名のつかないぼんやりとした不調には、漢方が役立つことがあるかもしれません。今回取材した「和漢薬舗 東洋堂稲垣薬局」は1978年創業の漢方専門の相談薬局です。漢方といっても、漠然と身体に良さそうというイメージしかない私。漢方についてのアレコレを東洋堂の店長・後藤さんにうかがいました!
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Toggle東洋堂は吉祥寺サンロードの五日市街道側、西友吉祥寺店の近くに位置しています。厳かな看板が印象的で、これぞ漢方店!といった雰囲気。店内に入ると薬箱や漢方薬の瓶が並んでおり、ジブリの「千と千尋の神隠し」を思い起こさせます(釜爺のシーンのアレです)! 「漢方薬局らしい店舗ではあるんですけど、なかなか入りづらいですよね(笑)」と笑顔で話す店長の後藤さん。勤続17年の漢方の薬剤師さんです。後藤さんに東洋堂のお店について聞いてみました。
「東洋堂は1978年(昭和53年)に吉祥寺で創業しました。一方、稲垣薬局は1938年(昭和13年)に同じく吉祥寺で創業し、今年2024年で86年目を迎えます。本社も吉祥寺にあるんですよ。」 さらに詳しく話を聞くと、東洋堂は大学で生薬や漢方薬を学んでいた稲垣薬局の社長(現会長)が開いたお店とのこと。 「調剤薬局や介護サービス、保育園など様々な事業を展開している稲垣薬局グループですが、東洋堂は最初から漢方専門として立ち上げたお店です。稲垣薬局の中でもかなり初期の方のお店ですね。当時は社長もお店を切り盛りしていたそうです。」
東洋堂のお店の特徴について聞いてみました。 「漢方薬は病院で出される粉の薬や錠剤もあるのですが、効き目がよく出る“煎じ薬”を東洋堂ではおすすめしています」といって見せていただいたのは、お茶パックのような袋。袋の中に生の生薬が入っており、それを煮出して薬にするそうです。
「漢方」と名のつくものは何千種類もあるそうです。その中で、日本で製造が認められている漢方薬は200種類以上あるんだとか。そんなにたくさんの種類があるんですね…! 「お出しした煎じ薬はご自宅でやかんや土瓶をつかってお湯で煮出してお飲みいただきます。1つのパックにつき、だいたい600〜500mlのお水を入れて30〜40分ほどコトコトお茶を煮出すようにしてつくります。煮詰まると300mlくらいになるので、そのお薬を1日2〜3回に分けて飲んでいただきます。」 煎じ薬は、生薬をそのまま煮出して作るため、添加物が入っていないのが特徴だそうです。
「煎じ薬は効果が高いのですが、煮出すのに時間がかかりますし、費用もかかります。ですので、錠剤や粉薬も併用してその人にあったものをお出しするように心がけています。」 毎日煮出すのが大変な方には、自動で煎じてくれる煎じ機もあるそうです。袋を入れてタイマーをかけると、自動で煮出してくれるなんて、便利なグッズがあるんですね!
さらに東洋堂の大きな特徴のひとつが、丁寧なカウンセリングです。ふらっと来て相談することも可能ですが、予約した方を優先しているので電話予約がおすすめです。
後藤さんは「初回だとお一人にかける時間はだいたい30分〜1時間ほどです。もちろん、あまり話したくないお客さまもいるのでケースバイケースですが、病院では話しにくい不調も丁寧に聞いています」と話します。
最初は1週間を目安に漢方を出し、飲んでみて体調にあうようだったら1ヶ月分で出すなど、希望に応じて漢方の量を調節してくれます。
「カウンセリングでは具体的な症状に加えて、身体全体の症状を丁寧に聞きます。直接関係がなさそうでも、お腹の調子をお聞きすることもあります。舌の色も重要なんですよ。西洋医学では特定の悪い部分をピンポイントで治療しますが、東洋医学では身体全体を見て、原因にアプローチするのが特徴です。漢方は“体質改善、根本治療”なんて言い方をしますよね。」
西洋と東洋2つの特性を理解して、うまく使い分けるのがポイントなのですね! 心の不調の場合、相談することでラクになる方もいるそうです。漢方の薬剤師さんは、身体と心の相談役としても機能しているのだなと感じました。
漢方の中にも流派があり、東洋堂では中医学の流れを汲んでいるそうです。
「風邪とひとくちにいっても、頭痛がつらいのか、寒気がするのか、咳が出るのか症状はさまざまですよね。中医学では病名で判断するのではなく、症状を診てその方に合った漢方をお出ししています。」
病気の種類を考えるのではなく、それぞれの症状に注目する考え方に目からウロコです! たとえば、“冷え”には具体的な病名はつかないことがありますよね。そういった“不調”を整える効果が漢方にはあるんだそうです。
しかし、漢方薬は飲み方を間違えると逆効果になることも。
「わかりやすいのが“温める”と“冷やす”という考え方。みなさん風邪には葛根湯というイメージがありますよね。葛根湯は“温める”漢方なので、寒さの邪気1が身体に入り込んだ時に効果があります。汗をかかせて寒さを追い払うわけですね。ですが、高熱が出て寒気がない風邪の場合、温めたら逆効果になってしまいます。」
薬を飲んだのに体調が悪くなることもあるんですね…! 繰り返しになりますが、症状にあわせて漢方を使わないといけないんですね。とても勉強になりました!
東洋堂の薬剤師さんは男性・女性といらっしゃるので、症状や相談内容に応じて薬剤師さんを選ぶことが可能です。基本的に初回の担当者が毎回カウンセリングをしてくれます。自分の症状を継続的に診てくれるのは安心するポイントですよね!
後藤さんは「漢方は続けることが大切」といいます。効果の高い煎じ薬も飲まなくなっては本末転倒。お客さんの生活スタイルや症状、予算にあわせて、錠剤や粉薬も併用しながらおすすめの漢方を提案してくれるので、気軽に相談できそうだなという印象を持ちました。
さらに、東洋堂は年中無休(1月1〜4日をのぞく)! 土日と祝日も営業されています。平日通えない方もこれなら安心ですね。
カウンセリング以外でも、ドクダミ茶や浴剤を買いにくる方もいらっしゃるそうです。ぼんやりとした不調のある方、漢方のことを知りたい方は一度訪れてみてはいかがでしょうか。
東洋堂のウェブサイトでは「漢方コラム」が掲載されています。「夏バテ」についてや季節と身体の関わりなど、知っておくとためになる情報がたくさん!
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1975年に創刊し、2022年3月で創刊47年を迎える週刊きちじょうじ。吉祥寺のおいしいグルメ、カルチャー、話題のトピック、ニュースがわかる、吉祥寺で暮らす人のためのタウン誌のオンライン版です。