吉祥寺村立雑学大学
2085回(2021/07/31)雑大レポート『船旅を楽しむ 語源 由来あれこれ』
====== 本記事は、雑学大学に参加された方によるレポート記事です ======
時刻表、クーポン券、トラベラーズチェック等のアイデアを出し、近代ツーリズムの父とされる英・トマス クック(1808ー92)の生涯&背景にある飲酒問題を話題とした;1)伝道師の彼は労働者の飲酒問題を憂慮;同じ貧者で心情は理解するが、自分が飲酒に溺れないのは「伝道による各地訪問という行動が癒しに」「旅行は安酒より人の癒しになるはず」との確信に至る; 1841禁酒運動を兼ねパック旅行を企画;屋根なし車両の臨時列車で500人を移動させ成功;51にはロンドン万博に16万人を送りこみ,72には世界一周を実施、横浜・瀬戸内海へも;息子との共同事業は大飛躍するが晩年は経営方針で対立;社の50周年に父不参加、父葬儀に息子欠席だった: 2)「英、病める飲酒文化」「子供の摂取も深刻」との記事が10年程前あり。それによれば「5歳以下の子供へのアルコールの禁」との法律が存在;「英国人の大量飲酒癖は千年前から」との英王立医学校の指摘も;非衛生的な水質問題、ビール=重要な栄養源説など背景は複雑だが、筆者に印象的だったのは名誉革命時(1688)に蘭から英の王位に迎えられたウイリアム3世の行動だ;彼は蘭の得意分野である蒸留酒ジンの英での製造を奨励、仏による英へのブランデー商売にくさびを打ち込んだのだ;1720-50は「ジン狂いの時代」とも呼ばれる; 1908 朝日新聞はクックと共同で「日本初世界一周」実施;その際「フィラデルフィア訪問」の推奨者が大隈重信; 在NYだった高峰譲吉も受け入れに一役かった;高峰はその後、桜の植樹にも貢献;日本への見返りのハナミズキへと発展した; 明治維新期、薩摩の密航留学生(森有礼、長澤鼎ら)が英から米へ移動したが、英への過度の期待が飲酒という社会問題に冷水をかけられたという側面もあったのではないかと愚考; 尚、teetotalism(絶対禁酒主義)の語源は どもりの人が禁酒宣誓時にどもったことから; dogwood(ハナミズキ)のdogは「樹皮の煮汁が犬の皮膚病に効く」からという; (文責 なかむら たかし)