武蔵野市の秋のイベント「むさしの青空市」今後のあり方めぐりパブリックコメント募集。ビジョンづくりが大きな課題に。

昭和56年(1981年)から毎年11月に開催されてきた「むさしの青空市」について、実行委員会の高齢化が進む中、今後のあり方を検討する「むさしの青空市のあり方検討委員会」の中間報告書について、パブリックコメントの募集が1月24日(月)から始まります。

第1回の開催を報じる「週刊きちじょうじ」350号(昭和56年11月20日発行)

中間報告書は、役員の高齢化等により、むさしの青空市はこのままでは継続困難と指摘。リサイクル意識の向上といった当初の理念は概ね果たされたとし、その理念を「むさしの環境フェスタ」や「くらしフェスタむさしの」に引き継ぎながら、「市民参加、市民/出店者間の交流」の活性化を促すため、市内事業者を加え「まちの魅力を高め豊かな暮らしを支える産業の振興」のための新たな秋のイベント実現を模索するよう提言しています。

ごみ問題をめぐる市民運動から始まった、むさしの青空市

むさしの青空市が始まった昭和50年代はコミュニティセンター(コミセン)の整備をはじめ、コミュニティ活動が盛んになっていった時期。特に武蔵野市は全国でも最も早く長期計画で市民参加を掲げ、大きな注目を浴びてきました。

昭和56年は、ごみ問題が市政としても大きな課題になっていた時期です。昭和48年に起こったオイルショックを契機として、武蔵野市では様々な市民団体が結成され、リサイクルなどの草の根の市民活動を展開。武蔵野市消費者運動連絡会(消費連)が結成され、家庭で不要になった生活用品を回収してまわり交換会を開催するなど、活発に活動をしていました。この消費連(武蔵野の27の消費者団体が参加)に、JAや商店会などの様々な市民を加えた実行委員会形式ではじまったのが、むさしの青空市です。第1回〜第16回までの実行委員長は、当時の長期計画策定に関わっていたことなどから、弊誌「週刊きちじょうじ」編集長の大橋一範が務めています。

週刊きちじょうじ350号は、第1回のむさしの青空市開催をイラスト付きでこう伝えています。

「13万市民のふれ合いマーケット」

連休初日 11月22日(日)10AM〜4PM、市役所前広場で、こんな楽しいイベントがありますよ。遅い朝食のあと、でかけてみませんか。まだまだ使える家具が、ほんの小遣銭で手に入ったり、物置でねむっていた修繕市。お楽しみコーナーでは、もちつきや、遊具が子供の目をひいて、親子ともども楽しめる仕組み。姉妹都市、利賀村の物産コーナーもありますよ。 主催むさしの青空市実行委員会協力27団体

今に続く「むさしの青空市」の主要な要素は、第1回から定まっていたことがよくわかります。

「13万市民のふれあいマーケット」と第して、開催概要がMap特集で報じられた。

武蔵野市では、イベントでの徹底的なゴミ分別が定着していますが、これも「クリーンむさしのを推進する会」などを中心とした「青空市でゴミは出さない」をスローガンにしたごみの減量・分別活動に端を発しています。フリーマーケットも珍しかった頃。現在も武蔵野市で行われている様々な試みの先駆けとして、むさしの青空市は出発したのでした。

役員の高齢化・担い手不足で、継続困難に

そんなむさしの青空市は令和元年で39回を重ね、近年は「秋のおまつり」としての性格を強めて発展・定着してきましたが、実行委員会の役員が高齢化し、今のままでは継続が困難になっています。また、多種多様な参加者が集まり交流やつながりが生まれていたことも、むさしの青空市の大きな特徴でしたが、報告書では運営メンバーや出店者が固定化し、交流やつながりが薄れてきていることも課題として取り上げられています。

そこで検討委員会は「むさしの青空市」の役割を、理念・交流・お祭りの3つに分類。まず、リサイクル意識の向上や消費者運動といった「むさしの青空市」の理念は、この30年で育ってきた「むさしの環境フェスタ」や「くらしフェスタむさしの」といった後進のイベントに継承。「交流」の部分を引き継ぐ、新しいイベントの実現を提案しています。

武蔵野青空市の理念継承イメージ。出典:むさしの青空市のあり方検討委員会報告書 中間のまとめ
アトレ吉祥寺ゆらぎの広場で開催中の「むさしの環境フェスタ」の展示。1月25日まで開催中。(2022年1月22日撮影)

報告書は、新たな秋のイベントの実行委員会に対し、事業者間の積極的なコラボレーションの場として位置づけ、毎年テーマを変えて様々な事業者を呼び込むことで交流を生み出し続ける役割を期待。「市内事業者を加えた新たな実行委員会を組織し、青空市に代わる秋のイベントを企画・運営すること」を提言しています。

ただ、本報告書はあくまで、これまで「むさしの青空市」を開催してきた関係者を中心として、現状の課題をまとめた側面が強く、今回のパブリックコメントでは、新しい「秋のイベント」のビジョンをどのように作っていくのか、幅広い意見が求められているといえそうです。パブリックコメントの募集受付は2月10日(木)まで。

(執筆:もっくん)

参考

むさしの青空市のあり方検討委員会 中間のまとめに対する意見を募集しますhttp://www.city.musashino.lg.jp/shisei_joho/public_comment/boshu/1035038.html